今月末で閉校する登別大谷高校(竹本将人校長)の第48回卒業式が3日、同校体育館で行われ、来賓・父母らが見守る中、57人が同校最後の卒業証書を手に母校を羽ばたいた。
同校は昭和38年に開校し、この日の卒業生を含め8127人が卒業した。卒業生には國母和宏(スノーボード)、佐々木みき(バレーボール)の
五輪選手をはじめ、全国にその名を知られている。
選手権1度、高校総体8度の全国出場を誇る名門の歴史が、幕を閉じた。93年以来、2度目の全国を目指した登別大谷だったが、札幌大谷に0―5で屈した。
最後の指揮となった兼田謙二監督(58)は「色々な思いはあるが、今はまだ…」と実感こそ湧かなかったが、32年の監督生活を「よくここまでやってこられたなと。負けたけど、悔いはないです」と振り返った。
兼田監督が就任した81年の部員は5人。部員2人と三角形になり、パス回しした時期もあった。「最初は全国に行けるなんて思ってもいなかった」。
日本リーグの日本鋼管で活躍し、日本B代表にも選出された実績を持つ指揮官が、一から道を代表するチームへと育て上げ、鹿島アントラーズで活躍した賀谷英司をはじめ、プロ選手も5人輩出した。
その1人で、アジアを中心に14か国でプレーした伊藤壇(36)は「今の僕があるのは監督のおかげ」と涙を流した。閉校のためその名は消えるが、功績は大きかった。
「1点は取りたかったし、1つくらいは勝ちたかった」。兼田監督はそう漏らしたが、やり残したことはない。試合後、選手やOBらの手で6度、胴上げされた。
「教え子もいっぱい来てくれて。幸せだなと思う」。こみ上げるものを抑え、笑顔で監督の肩書に別れを告げた。
来賓・父母ら120人が出席。正面の祭壇に献灯・献華が行われた後、男子39人、女子18人が名前を呼ばれ、総代の小関みなみさんが竹本校長から卒業証書を受け取り深々と頭を下げた。
さらに、真宗大谷派本山賞、日本私立中学・高等学校会賞、皆勤賞などが計10人に手渡された。藤岡巧理事長が「3年前に登別最後の入学生として迎え、全学園を挙げて『最高』の卒業生として送り出そうと最善を尽くしてきました。前向きに未来を切り開いていただきたい」と激励の告辞。竹本校長も「建学の精神、感謝の心を忘れずにこれからも歩んでほしい」と最後の式辞を述べた。