ヴェルディ・サッカースクール岩手花巻(菊池利三代表)のMF佐藤瑠己安(るきあ)(山目中3年)が、クラブ創立以来2人目の「昇格」を果たした。この春からJ2・東京ヴェルディ1969のユースチーム(高校生)に入団する。直系の育成選手が大半を占める中に地方支部から食い込むのは年に1、2人いるかどうか。狭き門を突破し「1年生から試合に出てチームの勝利に貢献する」と意気込む。
佐藤は167センチ、58キロの守備的MF。中盤でのハードワークが持ち味で、左右両足から繰り出す正確なキック、個人技の高さも魅力だ。送り出す側の期待も大きく、菊池代表は「悪く言えば人を踏み台にしても上を目指す厳しい世界だが、負けることに慣れてはいけない」とエールを送る。
今月末には単身で神奈川県に引っ越し、4月からは川崎市の菅高校に通う。授業後に向かうのは東京都稲城市にあるクラブハウス。トップチームや岩清水梓(滝沢村出身)が所属する日テレベレーザと同じグラウンドでサッカーに打ち込む。
夢を追って古里を離れるとはいえ、友達も家族もいないゼロからのスタート。不安はあったが、「チームメートやその親もみんなが『よかったね』『頑張れよ』って喜んでくれて…。あらためて、自分がもらったチャンスの大きさを感じた」と勇気に変えた。「必ずトップチームに上がって、仲間や家族、自分を支えてくれた人たちに恩返しをする」。15歳の大きな挑戦に今、キックオフの笛が鳴る。