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【高校選手権】千葉県代表八千代、まさかの7失点で敗戦

試合後の両チーム落胆した八千代イレブン
試合後の両チーム落胆した八千代イレブン

第91回全国高校サッカー選手権は2日、各地で2回戦を行い、フクダ電子アリーナでは八千代(千葉)と立正大淞南(島根)が対戦した。立正大淞南は前半19分にMF浦田雅之(3年)のミドルシュートで先制すると、同21分にFW田路大樹(3年)、同29分にはDF甲斐健太郎(3年)が追加点。前半を3-0で折り返すと、後半にもFW坂口健太(3年)がハットトリックを達成するなど4ゴールを積み上げ、7-1の大勝で初戦を突破した。

 エース離脱のアクシデントも関係なかった。大会直前に行った御殿場合宿の練習試合でエースのFW林大貴主将(3年)が鎖骨を骨折し、最後の選手権出場が絶望的となった立正大淞南。手術を受けた林は開会式前日に病院を退院し、この日もスタンドから声援を送った。ベンチには林の背番号17のユニフォーム。林の分までチームは一丸となり、7発大勝を呼び込んだ。

立ち上がりは八千代がやや優勢に試合を運んでいた。前半6分にはMF橋山滉也(3年)の左クロスにFW附木雄也(3年)が飛び込む。しかし、豪快なダイビングヘッドはゴール左へ外れ、左サイドをオーバーラップしたDF高橋壮也(2年)の横パスを受けた浦田がエリア外から右足を一閃。豪快なミドルシュートがゴール左上隅に突き刺さった。さらに2分後の前半21分には前線からプレッシャーをかけ、相手DFのクリアをブロック。こぼれ球に田路が素早く反応し、交錯した相手GK、DFよりも一歩早く追いつくと、冷静に左足で無人のゴールに流し込んだ。

 あっという間に2点のリードを奪った立正大淞南の勢いは止まらない。前半29分、MF隅田竜太(3年)の右CKに甲斐が頭で合わせ、強烈なヘディングシュートを叩き込んだ。まさかの3点ビハインドとなった八千代は前半37分、MF桑元麟太郎(3年)に代えてMF竹内淳平(3年)を投入し、早くも動く。エースのFW南直志(3年)と185cmの長身FW附木を中心にゴール前まで迫る場面はつくるが、立正大淞南の守備を突き崩せなかった。

 後半に折り返しても試合の流れは変わらない。立正大淞南は後半9分、坂口のワンタッチパスに反応した隅田がPA内で仕掛け、こぼれ球を坂口が右足ダイレクトボレー。豪快に蹴り込み、4-0と突き放した。追い込まれた八千代はなりふり構わず反撃に出る。後半13分にはMF朝倉啓太(2年)からパスを受けた附木が右足で流し込み、1点を返すが、立正大淞南は同20分、カウンターから浦田が中央をドリブル突破。ラストパスを受けた坂口が右足でゴール左隅にねじ込んだ。

 5-1とリードを広げた立正大淞南は後半23分、鮮やかなパス交換で左サイドを崩し、田路の折り返しに坂口が右足で合わせ、ハットトリックを達成。さらに同25分、右CKからショートコーナーでつなぐと、坂口がスルーしたボールを田路がヒールで落とし、後方から走り込んだ甲斐が右足でニアサイドを破った。

 後半35分に坂口が競り合いで脳震盪を起こし、途中交代するアクシデントもあったが、終わってみれば7-1の圧勝劇。全国選手権が首都圏開催となって以降、千葉県勢の1試合7失点は史上初で、島根県勢としても歴代最多記録となる1試合7ゴールを叩き込んだ。島根県勢としても初のベスト4を成し遂げた10年度大会以来、2大会ぶりの出場で日本一を目指す立正大淞南。エース不在を補って余りある爆発的な攻撃力で頂点まで駆け上がる。

 八千代はどこか集中力を欠いていた。パスをカットされては、カウンターを喰らう負の連鎖に陥っていた。攻撃では中盤の人数はいるものの。アタッキングサードに入ってから、フォローが少ない、また個人技で打開することこともできず、立正大淞南もDFをどうしても崩せない。得点を狙って前掛かりになっていたわけでない7失点にショックは予想以上に大きいかもしれない。この借りは来期より昇格するプリンスリーグ関東1部ではらすつもりだ。