鹿児島城西が優勝候補の前橋育英(群馬)を下し、16強入りを決めた。勝因はOBで鹿島の元日本代表FW大迫勇也(22)効果だ。選手は大迫から配られた新品のノートを反省用に利用しており、何度も読み返して成長の糧にした。大迫を擁した08年度大会の準V超えで、大先輩の恩に報いる。
鹿児島城西が「大迫効果」で08年度大会準V以来の16強入りを果たした。2回戦の相手は昨春の練習試合で敗れた優勝候補の前橋育英。強敵だった。だが小久保悟監督(45)が「忘れ物をしたんだ」と選手に何度も話してきた選手権V逸の無念を晴らすため、負けられなかった。母校をオフに訪れるなど、常に気にかけてくれる大迫への恩返しのためでもあった。
主導権を握られながらコンパクトな守備で耐えて迎えた前半ロスタイム1分。その執念が実った。MF南祐輝(3年)の右CKをDF新納(にいろ)洋輝(3年)が、中央からヘディングで決めて公式戦初得点で1点先制した。新納は大迫の気迫が乗り移ったかのような神がかり的なゴールに、スタンドへ猛ダッシュして喜びを爆発させた。
試合後のヒーローインタビューでも興奮は収まらない。「めっちゃ、うれしいです。絶対決めてやろうと思っていた。気持ちいい。絶対国立に行って、優勝したい」と大迫超えを誓った。虎の子の1点を死守しての勝利に両手でガッツポーズした小久保監督も「集中力を欠かさず、粘り強くディフェンスしてくれた。この後もやってくれるでしょう。持てる力を十分出して、全力を尽くしたい」と声を弾ませた。
“大迫ノート”のおかげだ。帰省していた大迫は11年1月の初蹴りで同校を訪れた際、全員に新品のノートを配布。選手はそこに日々の練習の反省点などを書き込み、虎の巻として何度も読み返して成長の糧にしてきたという。「サッカーノートとして役立っています」(新納)。ノートの活用が、大一番でのとっさの判断にも生かされたのだった。既に鹿児島に帰省し、吉報を楽しみにする偉大な先輩の期待に必ず応えてみせる。
【ニッカンスポーツ】