第九十一回全国高校サッカー選手権県大会の決勝が十七日、名古屋市の瑞穂運動公園陸上競技場であり、東邦(名古屋市名東区)が
PK戦の末、岡崎城西(岡崎市)を下して優勝。九年ぶり四度目の全国大会出場を決めた。
東邦は序盤、ロングボールを主体に攻撃の流れをつかむも、決定機をつくれないまま前半終了。岡崎城西も後半から再三にわたって
敵陣深くまで攻め込んだが、東邦DF陣の堅守もあって得点を奪えなかった。
降りしきる雨の中、延長の前後半も互いに攻めあぐねて0-0でPK戦に突入。
先攻の東邦は一人目が外したものの、GK西浦駿斗選手(三年)が二本続けて止めるなどし、東邦が2-0で岡崎城西を振り切った。
全国大会は十二月三十日、東京・国立競技場で開幕する。
◆自信のPK戦、春の雪辱
東邦の一人目が外して迎えた岡崎城西の一本目。ゴールマウスに立ったGK西浦駿斗選手(三年)は、冷静にキッカーのクセを見極めて
いた。迷わず右に跳んではじき出し、失いかけた流れを一気に引き戻した。
「相手は準決勝の熱田戦のPKも、同じような助走で、同じコースに蹴っていた。最初に外した(東邦の)彼の分も絶対に止めようと
思っていた」
冷たい雨にも集中力は途切れず、二本目もどんぴしゃのタイミングで左に跳んでゴールを死守。さえわたる読みでプレッシャーを与え、
続く三、四人目の失敗を誘った。
PK戦だけでなく、ゲームを通してファインセーブを連発した西浦選手を、横井由弦(ゆずる)監督は「今日は西浦デー。最初から最後まで
一人でストーリーを仕上げてくれた」と絶賛した。
今年に入ってプレーの精度を上げ、春から正GKに座っているが、悔しい思いも味わっている。春の県大会、決勝リーグの岡崎城西戦。
後半終了間際にフリーキックの処理を誤り、土壇場で同点に追いつかれた。PK戦の末に敗れ、インターハイの道を断たれた。
あの時と同じ顔合わせで、PK戦までもつれた展開も同じ。「今回は絶対負けるわけにはいかない」。今大会はすでにPK戦を経験している。
意気込む一方、冷静でもあった。
雪辱を果たした守護神。全国大会での見せ場を問われると、ちらりとプライドをのぞかせた。「PKには自信がある。全国でPK戦になっても
勝ちます」