黒田剛(青森山田高校)高校サッカー名将列伝
目次
1. 監督総評
1994年にコーチとして着任し、翌1995年に24歳の若さで監督に就任。当時全国的には全くの無名だった青森山田高校を約28年間にわたって率い、高校サッカー界の歴史を塗り替える絶対王者へと押し上げた現代高校サッカー界屈指の名将である。
「雪国だから勝てない」という既成概念を粉砕すべく、系列の青森山田中学校と連携した中高6年一貫育成システムを日本で先駆けて構築。人工芝ピッチや室内練習場の整備を進めるとともに、挨拶、清掃、礼儀、学業といったピッチ外の規律を徹底した。「甘さを排除し、隙を作らない」リアリズムを根底に、球際の競り合い(デュエル)、攻守の素早い切り替え、緻密なセットプレーを武器とする強固なプレースタイルを確立した。
全国高校サッカー選手権では26大会連続出場を果たし、3度の全国優勝(第95回、第97回、第100回)と3度の準優勝を達成。インターハイでも2度の全国制覇(2005年、2021年)を遂げた。さらにJクラブユースとしのぎを削る高円宮杯プレミアリーグEASTでも複数回優勝し、ファイナルを2度制覇。2021年度にはインターハイ、プレミアリーグEAST、選手権の全てを制する「高校年代3冠」の偉業を成し遂げた。柴崎岳、室屋成、松木玖生など日本を代表するトップ選手を数多く育て上げた後、Jリーグの舞台へ転身してプロでも手腕を証明し続けている。
2. 基本情報
- 氏名:黒田 剛(くろだ ごう)
- 生年月日:1970年5月26日
- 出身地:北海道札幌市
- 指導チーム:青森山田高等学校(青森県)
- 役職:元・青森山田高等学校サッカー部 監督(1995〜2022年度)、現・FC町田ゼルビア 監督
3. 指導歴
- 1994年4月 – 1995年3月:青森山田高等学校 サッカー部コーチ
- 1995年4月 – 2023年1月:青森山田高等学校 サッカー部監督(約28年間)
- 2023年2月 – 現在:FC町田ゼルビア 監督
4. 大会の戦績
全国高校サッカー選手権大会
出場26回(優勝3回、準優勝3回、ベスト4 2回、ベスト8 2回、ベスト16 14回) ※1997年度〜2022年度まで26大会連続出場
| 年度 | 高校名 | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1995年度 | 青森山田 | 第74回全国高校サッカー選手権大会 | 県予選敗退 | 代表:三本木農/監督就任1年目 |
| 1996年度 | 青森山田 | 第75回全国高校サッカー選手権大会 | 県予選敗退 | 代表:光星学院 |
| 1997年度 | 青森山田 | 第76回全国高校サッカー選手権大会(2回目) | 2回戦敗退 | 黒田監督として全国選手権初出場・26大会連続出場の起点 |
| 1998年度 | 青森山田 | 第77回全国高校サッカー選手権大会(3回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 初戦突破 |
| 1999年度 | 青森山田 | 第78回全国高校サッカー選手権大会(4回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 初戦突破 |
| 2000年度 | 青森山田 | 第79回全国高校サッカー選手権大会(5回目) | ベスト4(3位) | 青森県勢初となる全国4強進出 |
| 2001年度 | 青森山田 | 第80回全国高校サッカー選手権大会(6回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 5年連続出場 |
| 2002年度 | 青森山田 | 第81回全国高校サッカー選手権大会(7回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 佐賀北に勝利、3回戦進出 |
| 2003年度 | 青森山田 | 第82回全国高校サッカー選手権大会(8回目) | 2回戦敗退 | 初戦敗退 |
| 2004年度 | 青森山田 | 第83回全国高校サッカー選手権大会(9回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 初戦突破 |
| 2005年度 | 青森山田 | 第84回全国高校サッカー選手権大会(10回目) | ベスト8 | 同年インハイ初優勝、全国8強進出 |
| 2006年度 | 青森山田 | 第85回全国高校サッカー選手権大会(11回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 10年連続出場達成 |
| 2007年度 | 青森山田 | 第86回全国高校サッカー選手権大会(12回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 初戦突破 |
| 2008年度 | 青森山田 | 第87回全国高校サッカー選手権大会(13回目) | 2回戦敗退 | 初戦敗退 |
| 2009年度 | 青森山田 | 第88回全国高校サッカー選手権大会(14回目) | 準優勝 | 柴崎岳2年を擁し初の決勝進出、準優勝 |
| 2010年度 | 青森山田 | 第89回全国高校サッカー選手権大会(15回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 柴崎岳3年主将、櫛引政敏 |
| 2011年度 | 青森山田 | 第90回全国高校サッカー選手権大会(16回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 室屋成2年 |
| 2012年度 | 青森山田 | 第91回全国高校サッカー選手権大会(17回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 室屋成3年主将 |
| 2013年度 | 青森山田 | 第92回全国高校サッカー選手権大会(18回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 初戦突破 |
| 2014年度 | 青森山田 | 第93回全国高校サッカー選手権大会(19回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退 |
| 2015年度 | 青森山田 | 第94回全国高校サッカー選手権大会(20回目) | ベスト4(3位) | 神谷優太を擁し4強進出 |
| 2016年度 | 青森山田 | 第95回全国高校サッカー選手権大会(21回目) | 優勝 | 悲願の選手権全国初制覇、高橋壱晟、廣末陸 |
| 2017年度 | 青森山田 | 第96回全国高校サッカー選手権大会(22回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 郷家友太、中村駿太 |
| 2018年度 | 青森山田 | 第97回全国高校サッカー選手権大会(23回目) | 優勝 | 通算2度目の全国制覇、檀崎竜孔、三国ケネディエブス |
| 2019年度 | 青森山田 | 第98回全国高校サッカー選手権大会(24回目) | 準優勝 | 武田英寿主将、藤原優大、松木玖生1年 |
| 2020年度 | 青森山田 | 第99回全国高校サッカー選手権大会(25回目) | 準優勝 | 藤原優大主将、安斎颯馬、松木玖生2年 |
| 2021年度 | 青森山田 | 第100回全国高校サッカー選手権大会(26回目) | 優勝 | 松木玖生主将、宇野禅斗、高校3冠達成 |
| 2022年度 | 青森山田 | 第101回全国高校サッカー選手権大会(27回目) | ベスト8 | 黒田剛監督ラスト大会 |
全国高校総体(インターハイ)
出場22回(優勝2回、ベスト4 3回、ベスト16 9回) ※2000年〜2022年まで22大会連続出場(2020年中止挟む)
| 年度 | 高校名 | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1995年 | 青森山田 | ’95鳥取総体 青森県予選 | 県予選敗退 | 代表:三本木農 |
| 1996年 | 青森山田 | ’96山梨総体 青森県予選 | 県予選敗退 | 代表:光星学院 |
| 1997年 | 青森山田 | ’97京都総体 青森県予選 | 県予選敗退 | 代表:光星学院 |
| 1998年 | 青森山田 | ’98香川総体 青森県予選 | 県予選敗退 | 代表:光星学院 |
| 1999年 | 青森山田 | ’99岩手総体 青森県予選 | 県予選敗退 | 代表:光星学院 |
| 2000年 | 青森山田 | 2000年岐阜総体(2回目) | ベスト4(3位) | 黒田監督として総体初出場・総体初の全国4強進出 |
| 2001年 | 青森山田 | 2001ひのくに新世紀総体(3回目) | 2回戦敗退 | 初戦突破 |
| 2002年 | 青森山田 | 2002茨城総体(4回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | ベスト16進出 |
| 2003年 | 青森山田 | 2003長崎ゆめ総体(5回目) | 2回戦敗退 | 初戦突破 |
| 2004年 | 青森山田 | 2004中国総体(6回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | ベスト16進出 |
| 2005年 | 青森山田 | 2005千葉きらめき総体(7回目) | 優勝 | インターハイ初優勝・東北勢37年ぶり全国制覇 |
| 2006年 | 青森山田 | 06総体THE近畿(8回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | ベスト16進出 |
| 2007年 | 青森山田 | 2007青春・佐賀総体(9回目) | 2回戦敗退 | 初戦突破 |
| 2008年 | 青森山田 | 彩夏到来08埼玉総体(10回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退 |
| 2009年 | 青森山田 | 2009近畿まほろば総体(11回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | ベスト16進出 |
| 2010年 | 青森山田 | 美ら島沖縄総体2010(12回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退 |
| 2011年 | 青森山田 | 2011熱戦再来 北東北総体(13回目) | 1回戦敗退 | 地元・東北開催 |
| 2012年 | 青森山田 | 2012 北信越かがやき総体(14回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 室屋成 |
| 2013年 | 青森山田 | 2013 未来をつなぐ 北部九州総体(15回目) | 2回戦敗退 | 初戦突破 |
| 2014年 | 青森山田 | 煌めく青春 南関東総体2014(16回目) | ベスト4(3位) | 全国4強進出 |
| 2015年 | 青森山田 | 2015 君が創る 近畿総体(17回目) | 2回戦敗退 | 神谷優太 |
| 2016年 | 青森山田 | 2016 情熱疾走 中国総体(18回目) | ベスト4(3位) | 高橋壱晟を擁し4強進出 |
| 2017年 | 青森山田 | はばたけ世界へ 南東北総体 2017(19回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 郷家友太 |
| 2018年 | 青森山田 | 2018 彩る感動 東海総体(20回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 檀崎竜孔 |
| 2019年 | 青森山田 | 感動は無限大 南部九州総体 2019(21回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 武田英寿 |
| 2020年 | 青森山田 | 2020 魅せろ躍動 北関東総体 | 大会中止 | 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により中止 |
| 2021年 | 青森山田 | 輝け君の汗と涙 北信越総体 2021(22回目) | 優勝 | 松木玖生を擁し16年ぶり2度目の総体全国制覇 |
| 2022年 | 青森山田 | 躍動の青い力 四国総体 2022(23回目) | 3回戦敗退(ベスト16) | 黒田剛監督ラスト総体 |
高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会
出場8回(8年連続8回出場、ベスト8 3回)
| 年度 | 高校名 | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2003年 | 青森山田 | 第14回全日本ユースサッカー選手権大会(初出場) | ベスト8 | プリンス東北優勝・全国初出場で8強進出 |
| 2004年 | 青森山田 | 第15回全日本ユースサッカー選手権大会(2回目) | グループリーグ敗退 | 1次ラウンド敗退 |
| 2005年 | 青森山田 | 第16回全日本ユースサッカー選手権大会(3回目) | ベスト8 | 総体優勝&プリンス東北優勝・全国8強 |
| 2006年 | 青森山田 | 第17回全日本ユースサッカー選手権大会(4回目) | ラウンド16敗退 | 決勝トーナメント進出 |
| 2007年 | 青森山田 | 第18回全日本ユースサッカー選手権大会(5回目) | ベスト8 | 全国8強進出 |
| 2008年 | 青森山田 | 第19回全日本ユースサッカー選手権大会(6回目) | グループリーグ敗退 | 1次ラウンド敗退 |
| 2009年 | 青森山田 | 第20回全日本ユースサッカー選手権大会(7回目) | ラウンド16敗退 | 決勝トーナメント進出(柴崎岳) |
| 2010年 | 青森山田 | 第21回全日本ユースサッカー選手権大会(8回目) | ラウンド16敗退 | 本大会最終回(柴崎岳) |
高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ / プリンスリーグ東北
プレミアリーグファイナル(チャンピオンシップ)優勝:2回(2016年、2019年) プレミアリーグEAST優勝:3回(2016年、2019年、2021年) プリンスリーグ東北優勝:8連覇(2003年〜2010年)
| 年度 | 高校名 | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2003年〜2010年 | 青森山田 | プリンスリーグ東北 | 優勝(8連覇) | 東北リーグ8年連続制覇 |
| 2011年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 4位 | プレミアリーグ創設初年度より参戦(室屋成) |
| 2012年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 4位 | 2年連続参戦(室屋成) |
| 2013年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 4位 | 3年連続参戦 |
| 2014年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 7位 | 4年連続参戦 |
| 2015年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 2位 | EAST準優勝(神谷優太) |
| 2016年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST / チャンピオンシップ | EAST優勝・CS優勝(日本一) | 高体連勢初となるチャンピオンシップ制覇・高校年代真の日本一 |
| 2017年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 3位 | 上位維持(郷家友太) |
| 2018年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 2位 | EAST準優勝(檀崎竜孔) |
| 2019年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST / ファイナル | EAST優勝・ファイナル優勝(日本一) | 名古屋グランパスU-18を破り2度目のファイナル制覇 |
| 2020年 | 青森山田 | スーパープリンスリーグ2020東北 | 優勝 | プレミア中止に伴う合同代替リーグ優勝 |
| 2021年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST優勝 | 高校年代3冠の1冠達成(ファイナル中止) |
| 2022年 | 青森山田 | プレミアリーグEAST | EAST 4位 | 黒田剛監督ラストシーズン |
5. 選手経歴・選手総評
選手総評
北海道札幌市出身。少年時代からサッカーに打ち込み、1986年に当時本格的な強化が始まったばかりの北海道・登別大谷高校(現・北海道大谷室蘭高校)へ進学した。厳しい規律と猛練習が課される環境のなか、不屈の反骨精神で心身を鍛え上げ、高校3年時の1988年に兵庫県で開催された全国高校総体(インターハイ)に出場を果たした。
高校卒業後は関西の名門・大阪体育大学体育学部へ進学。入学直後の1年時から持ち前の闘志と運動量を武器に右サイドバックのレギュラーポジションを掴み、関西学生サッカーリーグなどのハイレベルな舞台で研鑽を積んだ。大学時代には選手としての限界や葛藤に直面しながらも、サッカーの本質と勝負に対する鋭い洞察力を培った。
大学卒業後は一般企業勤務を経て、サッカー指導への情熱を断ちがたく教育者を志し、北海道恵庭北高校の非常勤講師や母校・登別大谷高校のコーチを務めた後、1994年に青森山田高校へ赴任した。選手時代に培った厳格な自己規律と過酷な環境を耐え抜いた原体験が、のちに「雪国の無名校」を日本最強の常勝軍団へと育て上げる不撓不屈の勝負哲学の根幹となった。
選手経歴
- 高校時代:登別大谷高等学校(現・北海道大谷室蘭高等学校)サッカー部
1988年:昭和63年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)出場。 - 大学時代:大阪体育大学 体育学部 サッカー部
1年時より右サイドバックでレギュラー獲得、関西学生サッカーリーグ等でプレー。 - 社会人時代:一般企業勤務を経て、北海道恵庭北高等学校非常勤講師、登別大谷高等学校サッカー部臨時コーチを経て青森山田高等学校へ赴任。

















