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【高校選手権】鵬翔がPKを制し、初優勝

第91回全国高校サッカー選手権は19日、国立競技場で決勝を行い、ともに初めて決勝へ勝ち上がった鵬翔(宮崎)と京都橘(京都)が激突。2-2で突入したPK戦を5-3で制した鵬翔が初優勝を果たした。鵬翔は宮崎県勢初V。出場12回目で全国の頂点に立った。

 04年度大会決勝以来となるPK戦決着。4-3で迎えた5人目、先攻・鵬翔のGK浅田卓人(3年)の右足シュートがゴール左隅へ吸い込まれると、宮崎の名門が国立のピッチで歓喜の雄叫びを上げた。

 降雪のために14日から順延された決勝は、ピッチサイドにまだ雪が残る中で行われた。鵬翔は12月に左膝を手術しているエースFW中濱健太(3年)がこの日もベンチスタート。加えて右SB柏田崇走(3年)が累積警告のために出場停止だった。柏田の代役としてMF松永英崇(3年)を右SBに起用して決戦に臨んだ鵬翔は、前線でFW北村知也(1年)が積極的に走り回り、再三左サイドを駆け上がる左SB日高献盛(3年)がチャンスに絡む。

 12分にMF小原裕哉(2年)が右足シュートを放つと、16分にはオーバーラップした日高のクロスを北村がニアサイドで合わせる。そして23分にはPAでパスをつなぎ、最後は北村が決定的な右足シュート。だが、京都橘はDFのスーパークリアで得点を許さない。

 今大会計9得点を挙げているFW小屋松知哉(2年)とFW仙頭啓矢(3年)の強力2トップを擁する京都橘は中盤で厳しいチェックを見せるMF宮吉悠太(2年)らがボールを奪うと、抜群の配球センスを見せる仙頭を起点に攻撃。9分、仙頭のスルーパスから小屋松が左サイドをスピードで打開し、最後はゴール前のこぼれ球を宮吉が右足で押し込もうとする。また28分には自ら放ったシュートのこぼれ球を拾った仙頭が右サイドへ流れながら右足シュート。だが、いずれも鵬翔GK浅田の好守に阻まれると、33分には仙頭のスルーパスにMF中野克哉(1年)が走りこむが、左足シュートはゴールを捉えなかった。

 両チームともに好守からスピーディーな攻撃を繰り出した前半。その42分に京都橘がスコアを動かす。左クロスのこぼれ球を右サイドで拾った中野が左足で中央へ入れると、DFのクリアボールに中央で反応したCB林大樹(1年)が右足シュート。強烈な一撃にGKも反応して触ったものの、ボールはゴールラインを越えて先制点となった。

 リードされた鵬翔は後半開始からエース中濱を投入。すると、その中濱の突破から同点ゴールが生まれる。3分、左サイドで中濱がスピードに乗ったドリブルからDF2人をかわしてCKを獲得。これを小原が中央へ入れると、GKの前で頭で合わせたCB芳川隼登(2年)がゴール右隅へねじ込んだ。

 この後、鵬翔・中濱、そして京都橘の小屋松と両校の“スピードスター”が快足を活かしてチャンスをつくりあい、会場を沸かせる。勢いに乗って攻める鵬翔と、それに飲み込まれずに攻め返す京都橘。激しさを増した攻防戦は19分、京都橘が勝ち越しに成功した。中野とパス交換した小屋松が左サイドのスペースへ抜け出す。その折り返しを仙頭が右足ダイレクトで合わせて再びリードを奪った。

 再び追う展開となった鵬翔はCKを獲得して得意のセットプレーから同点を目指す。だが、京都橘はGK永井建成(2年)中心に相手のクロスボールを跳ね返してゴールを守り続ける。そしてカウンターから決定機をつくり出した。それでも39分だ。鵬翔は敵陣中央でボールを持ったMF矢野大樹(3年)が左サイドのスペースへ落とすと、走りこんだ日高がDFと競り合いながらPAへ飛び込む。ここで京都橘DFが痛恨のファウル。プレッシャーのかかるPKを矢野がゴール左上へ叩きこんで2-2の同点に追いついた。

 試合は前後半各10分間の延長戦へ突入。ともに運動量が落ちる中、何とか相手ゴールをこじ開けようとするが勝ち越し点を奪うことができない。そして決着は04年度大会以来となるPK戦に委ねられた。先攻・鵬翔1人目の矢野が左隅へ決めたのに対し、京都橘1人目・仙頭の右足シュートはゴール右ポストを直撃。今大会4回目のPK戦を戦う鵬翔は5人全員が成功して高校日本一に輝いた。