昨季のプレミアリーグ覇者マンチェスター・シティーが、清水のMF石毛秀樹(18=清水西高3年)に獲得オファーを出していることが17日、分かった。移籍金の最低ラインを500万ドル(約4億円)に設定。ロベルト・マンチーニ監督(47)は年末から来年1月にかけて、トップチームの練習参加を熱望している。現時点で清水は移籍を容認しない方針だが、練習参加のために日程調整する。
世界屈指のビッグクラブは本気だ。今年4月にプロデビューしたばかりの18歳に、マンチェスターCが提示した移籍金の額は破格だった。清水の関係者は「話が来たのは事実です。500万ドル以上の価値があると言われました」と認めた。
清水西高3年の石毛は学校に通いながら、プロ生活を送っている。5歳から清水の下部組織に所属し、ユース時代の今年3月31日に“飛び級”でプロ契約。4月4日にナビスコ杯・新潟戦(アウスタ)でクラブ史上最年少で公式戦デビューを果たした。その後も、6月6日のナビスコ杯札幌戦(札幌厚別)で公式戦初ゴール。リーグ戦ではゴールこそ挙げていないが、11試合に出場するなどチームの主力となっている。
石毛の才能は早くから注目されてきた。09年にU―15日本代表に選ばれると、各年代で日の丸を背負った。11年はアジア年間最優秀ユース選手賞を獲得。清水のアフシン・ゴトビ監督(48)は「石毛は驚くべきスピードで成長している。スペースを見つけ、それを生かす能力がある。両足から強烈なシュートを放つこともできる」と潜在能力の高さを評価する。チームでは本職のトップ下に加え、FWやSBも務める器用さも併せ持つ。
国際舞台で活躍する石毛の姿は、昨季のプレミアリーグ王者の目にも留まった。プレー映像を見たマンチェスターCのマンチーニ監督は「トップチームの練習で見てみたい」と一目ぼれしたという。移動の旅費や滞在費を全額負担する条件で練習参加を要請した。
15年1月31日まで契約を結んでいる清水にとって、石毛は必要な戦力であり現時点で移籍は容認していない。しかし、クラブ関係者は「清水から世界で活躍する選手が出るのはうれしいこと」と将来的に移籍を否定しておらず、今回の練習参加についても日程を調整し実現させる考えだ。今後Jリーグで結果を残し、条件面でも折り合えば移籍の可能性は十分ある。日本サッカーの王国からサッカー母国へ。石毛が世界の舞台で勝負する。
▽マンチェスター・シティーFC 1880年にセントマークスとして創設され、1894年から現名称。同じマンチェスターが本拠地のマンチェスターUが全国区で世界規模のクラブであるのに対し、98年に降格するなど苦戦が続いたが、08年にクラブを買収したUAE王族の豊富な資金をバックに大量補強。昨季、44季ぶり3度目のリーグ制覇を果たした。そのほか主なタイトルはFA杯5回、欧州カップウィナーズ杯1回。チームカラーは水色。ホームはエティハド・スタジアム(4万7805人収容)。
【スポニチ】