三十日に開幕する第九十一回全国高校サッカー選手権大会。県代表の野洲(野洲市)は七年ぶり二度目の優勝を目指す。出場は二年ぶり八回目。三十一日午後二時十分から東京都世田谷区の駒沢陸上競技場で青森県代表の青森山田と対戦する。強豪同士の初戦で注目度も高く、野洲イレブンも調整に余念がない。
練習開始とともに五人一組に散った選手たちが、十メートル四方ほどの範囲でパスを回し始めた。靴底やかかとで球を巧みに扱う高校生離れした技は、足に球が吸い付いているかのよう。野洲が身上とするパスワークの正確さはこうして養われる。
県大会では全試合で一方的に球を保持し、パスワークで相手を圧倒した。山本佳司監督は「選手権でもこのスタイルを体現する」。チームの大半は中学時代から一緒にプレー。公立校ながら、完成度の高さは全国でも指折りだ。J1名古屋グランパスに入団するMF望月嶺臣(れお)選手(三年)を中心に攻撃的なサッカーを掲げる。
青森山田は前線から圧力をかけてくる攻撃的守備が持ち味。ボールを奪うと個人技で得点できる選手も多い。パス回しを封じにかかる相手守備をかいくぐれるかがかぎになる。
帰国中、後輩の練習を見に来た野洲OBで日本代表FW乾貴士選手(ドイツ・フランクフルト)は「今のチームは、自分たちが優勝したときより細かいパス回しがうまい」と太鼓判を押した。MFの松田惠夢主将(三年)は「自分たちのパスサッカーをして全国制覇したい」と誓う。
【中日新聞】