第91回全国高校サッカー選手権大会(読売新聞社など後援)で県勢初となるベスト4入りを遂げた鵬翔高サッカー部。12日に準決勝が行われる東京・国立競技場は、「ピッチに立とう」と全部員が日々の練習で思いを一つにしてきた夢舞台だった。
宮崎市の鵬翔高から南西約2キロのグラウンド。同じ学校法人が運営する宮崎産業経営大の敷地内にある。隅に「目指せ『国立!!』」と横書きされた幅約3メートルの看板が掲げられている。部のOBが数年前、後輩たちへの思いを託して立てた。
74人のサッカー部員は毎日の練習を終えた後、この看板の前に整列。校歌を歌い、「目指せ国立」と大きな声を出す。憧れの国立競技場でプレーしよう――。気持ちがまとまる瞬間を、部では大切にしてきた。
昨年12月中旬、6年ぶり12回目の全国大会出場を前に、同校OBのJリーガー、増田誓志選手(27)と興梠慎三選手(26)から部員にお祝いのメッセージと共に、スパイク約30足が届いた。
「憧れの先輩からの大切なプレゼント」とレギュラー選手らはこのスパイクを使って練習を重ねた。今大会中で着用する選手も多く、J1で活躍する両選手の思いを勝利への力にした。
公式戦では、前半と後半のそれぞれ終了5分前になると、鵬翔のスタンドからは大音量の校歌が響いてくる。ピッチで戦う選手たちに「残り5分」と知らせる合図。25年以上前から続く取り組みで、プレー中の選手たちはこの校歌を聞くと、「ホイッスルが鳴る瞬間まで全力でやり通そう」という気持ちになれる、と上永智宏コーチ(39)は話す。
さまざまな支援を快進撃の原動力にしてきた選手たち。準決勝の星稜(石川)戦に向けて、今大会の試合映像を分析するなどし、全員サッカーで頂点を目指す。
【読売新聞】