全国高校サッカー選手権大会(読売新聞社など後援)の準決勝2試合が行われた12日、京都橘は東京都新宿区の国立競技場で桐光学園(神奈川)と対戦。破壊力抜群のツートップがこの日も躍動して3―0と快勝し、決勝進出を決めた。決勝は14日行われ、鵬翔(宮崎)と対戦する。
京都橘は前半、相手守備陣の裏を狙ったパスで好機をうかがうも、相手の素早いフォローで思うようにボールがつながらない場面が目立った。しかし42分、中野の放ったシュートがゴールバーに直撃すると、そのこぼれ球を仙頭が落ち着いて先制。今大会4得点目を決めた。
後半、攻勢を強めた桐光学園に対し、京都橘はGK永井の好プレーなどでピンチをしのぐ時間帯が続いた。しかし、手薄になった相手守備陣の隙を見逃さずに速攻でボールを運ぶと、小屋松が単独得点王に近づく今大会5得点目のゴール。さらに終了間際に追加点を挙げ、わずか3本のシュートで2点を追加し、突き放した。
米沢一成監督は「選手たちが浮足立つことなくプレーできたことが良かった。次は決勝と意気込まず、目の前の試合にただ勝つことだけに集中して試合に臨みたい」と話していた。
◇母のメール先制後押し FW・仙頭選手
「啓矢は本当によくやってくれました。その一言につきます」
決勝へ導く先制点をたたき出した仙頭啓矢選手(3年)の母・朋子さん(40)は目に涙を浮かべながら、ピッチを走る息子をスタンドから見つめた。
小学1年からサッカーを始めた仙頭選手は2人兄弟の長男。「プラス思考と言えば聞こえはいいけど、調子に乗りやすい性格」と苦笑する朋子さんは、気を引き締めようと試合前にいつも声をかけている。
今大会は、チームが合宿に入っているため、メールが主な連絡手段。「ほかのポジションの子にも目を向けて」「京都の代表ということを忘れずに」――。サッカーのルールはよく分からないが、活を入れようと送っている。
「必ず勝ちなさい」。準決勝前夜に送ったメールでは、いつも以上に勝利を意識させた。仕事で準決勝を観戦できない父・啓一さん(55)に、決勝でプレーする姿を見せたいとの思いからだった。
「母親のメールのおかげで、気が引き締まりました」。試合中の厳しい表情から一転、試合後には顔をほころばせながら仙頭選手は母親からのメールに感謝する。
「こんなに多くの観客の前でプレーするのは初めて。決勝も楽しんで戦いたい」。決勝前夜にも来るだろうメールを励みに、最後の1戦に臨むつもりだ。
【読売新聞】