◇星稜GK置田竣也主将(3年)
仲間が作ってくれたリードを追いつかれて迎えたPK戦。「今度は自分がしっかり止めよう」。1メートル86の長身が両腕を上げて構え、ゴール前に立ちはだかった。左に勢いよく跳んだ2本目はボールをはじき、冷静な主将には珍しくガッツポーズを見せた。
中学からGK一筋。大阪出身だが「サッカー漬けの生活をしたい」と寮もある星稜に進んだ。日本代表の本田圭佑選手と同じ道だ。
ポジションも違う本田選手に憧れていたわけではなかったが、サッカーへの情熱を高めてくれたのは、彼だった。1年生の時、本田選手が飛び入りで練習に参加。約2時間の練習で、1度もシュートを止められなかった。「これが世界で戦う人のシュートなのか」。驚きながらも「まずは同世代のシュートを止められるようになろう」と自身に言い聞かせ、さらに練習に打ち込んだ。父・雅章さん(48)も「とても印象的な出来事だったようで、あれからは『日本一になりたい』とよく目標を話すようになった」と振り返る。
試合後に応援席にあいさつすると、自然と涙があふれた。春からは大学でサッカーを続ける。「また日本一を目指し、4年後にはプロになる」。偉大なOBと同じ舞台に立つことを夢見ている。(池田創)
【読売新聞】