<高校サッカー:京都橘3-0桐光学園>◇準決勝◇12日◇国立
京都橘は桐光学園(神奈川)に快勝して、初の決勝に進んだ。
FW仙頭啓矢(3年)が、大勝の口火を切った。前半42分、MF伊藤のシュートがバーに跳ね返り、目の前に転がったボールに右足を伸ばすだけで良かった。「予選から全ての試合で先制点を奪ってきた。どんな形でもいいから、先制点が欲しかった」と顔をほころばせた。県大会から通算10試合連続の先制で、チームを勢いに乗せた。
初めての国立にも、緊張をみじんも感じさせなかった。「これだけ多くの人の前でサッカーできるのが楽しみで。やってやるって気持ちしかなかった」。相手の流れとみるや下がりめでボールをキープし、チャンスが来ればゴール前へ顔を出した。
出身は大阪府寝屋川市。中学3年の時、進学先を決めかねた。通ったサッカークラブの監督の推薦で、京都橘の練習に参加した。「ここなら自分を生かせる」と直感した。「自分は体は小さいし、足が速いわけでもない。足元の技術を生かせるのは京都橘だと思った」。小1~2の2年間、母朋子さん(40)のバレーの練習についていった。アタックやスパイクを足で止めることで、技術は自然と培われた。朋子さんは「バレーの練習に連れていったのは、まだ小さくて家で1人にさせるわけにはいかなかったので」と振り返る。
小学生の時、両親が買い与えたDVDがあった。W杯のゴール集、元イングランド代表ベッカム、そして元イタリア代表バッジオの映像。仙頭が繰り返し見たのがバッジオ。ファンタジスタの姿が頭に刷り込まれた。現役時代を直接知らなくても、理想の選手は「バッジオです」と答える。
今大会初めての無失点試合だった。攻守の歯車がかみ合い、勢いは増した。4得点で得点ランキングは2位タイ。1位のチームメートFW小屋松を1点差で追う。「得点王よりも、なんとしても全国制覇したい」。頂点まであと1つ。一気に駆け上がってみせる。【高橋悟史】
◆仙頭啓矢(せんとう・けいや)1994年(平6)12月29日生まれ。大阪府寝屋川市出身。ガンバ大阪門真、FCグリーンウェーブをへて京都橘高校サッカー部に入部。170センチ、58キロ。
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