仙台育英が利府を下し、8年ぶり31度目の全国選手権出場を決めた。J1クラブで強化スタッフの経験がある城福敬監督(54)が就任して
3年目。イビチャ・オシム元日本代表監督(71)から影響を受けた「考えながら走るサッカー」で頂点をつかんだ。
仙台育英・城福監督の体が、選手たちの手で宙に舞った。実弟の浩氏(51)は今季からJ2甲府の監督に就任。ぶっちぎりの優勝でJ1
昇格を決めていただけに「1年目で厳しいと思ってたのに弟が勝って。兄弟でひのき舞台に出られてうれしい」。PK戦の末に8年ぶりの選
手権切符を手にし、真っ黒に焼けた丸顔をほころばせた。
「オシム流」で頂点をとった。城福監督はJ2千葉(当時はJ1)の強化スタッフを務めた縁で、千葉でも指揮を執ったオシム元日本代表監
督の「考えながら走るサッカー」に感銘を受けた。10年2月に仙台育英の監督に就任してからも、「考えること」を選手に求めてきた。後半2
0分の同点ゴールはCKが起点。ペナルティーエリア内に大量8人を投入し、MF白岩諒大(2年)が押し込んだ。「ニアサイドの選手をおとり
に、自分とか後ろの選手が狙う。だから人をかけた方がいいと思った」。鍛えられた状況判断のたまものだった。
オシム氏は「サッカーではない」とPK戦を嫌って控室に入ることで有名だったが、城福監督は勝利の瞬間をしっかりと見つめた。「6人目
どうするんだ? と聞いたら、いつも蹴る5人が『僕らで決めます』と。プレッシャーがある時も考えて打開していける選手を育てたい」。全国
の強豪にも頭と体をフル回転させて挑む。
【ニッカンスポーツ】