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【高校選手権】桐光、攻撃陣空回り…高校サッカー準決勝敗退

全国高校サッカー選手権大会(読売新聞社など後援)の準決勝が行われた12日、桐光学園は東京都新宿区の国立競技場で京都橘(京都)と対戦。前線への的確なパスで攻撃を組み立てて相手陣内に攻め入ったが、決定機を作れずに0―3で敗れ、16年ぶりの決勝進出はならなかった。

 相手監督から「攻撃も守備も力が上」と警戒されていた桐光学園は、司令塔・松井のピンポイントパスや、菅本、橋本の両サイドからのドリブル突破でチャンスをうかがった。しかし、相手にボールを奪われるシーンが多く、逆に前半終了間際には相手の鮮やかなパス交換から、先制点を献上した。

 今大会初めての追いかける展開に、ゲームキャプテンの大田はハーフタイムで、「このまま終われない」とメンバーを鼓舞。後半は9本ものシュートを放ったが、ドリブル突破が魅力の橋本が「先制されて気持ちが前のめりになった」と振り返るようにトラップやパスのミスが多く、カウンターを主体とする相手に攻め込まれて失点を重ねた。

 終盤は大田のロングスローでゴール前まで攻め込んだが、相手の守備にはね返された。佐熊裕和監督が試合後、「ボールを奪えず、パスをつなぎきれなかった」と分析するなど見せ場を作れなかった。

◆エースの「仕事」できず涙…FW野路貴之選手(3年)

 「こんなはずじゃない。もっと互角に戦えるはずだ」。後半、パスがつながらず前線で孤立する時間が増えると、何度も首をかしげた。焦りだけが募る。2万7000人の観衆が見つめる夢舞台で、いつもと違う感覚に陥っていた。

 今大会は、ゴールを量産した。初戦の2得点に加え、準々決勝後半ロスタイムでは劇的なゴールを決めるなど計3得点を挙げ、チームを16年ぶりの国立に導く原動力になった。

 活躍の裏には、秘めた思いがあった。昨年10月、関東地方の高校などで作るリーグ戦で足首を捻挫。けがが完治しないまま出場した県予選は4試合無得点。チームメートに連れてきてもらった全国で、今度は自分がエースの「仕事」をする。強い決意で臨んでいた。

 しかし、この日は相手DFに位置取りで競り負けるなど、見せ場を作れない。試合終了のホイッスルが鳴っても、「終わったことが受け入れられなかった」と、ピッチに立ち尽くした。

 「優勝してこそ、チームに恩返しができると思っていた。だから悔いが残る」。涙を浮かべる目からは、最後までエースの責任が伝わってきた。(坂場香織)

◆松井投手も声援

 スタンドでは、昨夏の全国高校野球大会で、春夏の甲子園を通じて1試合(9回)の最多奪三振の新記録を樹立した松井裕樹投手(2年)=写真手前左=も青色のメガホンを振って応援した。

 松井投手は、GKの長津大裕選手とクラスメート。大会中もメールで激励したという。松井投手は「サッカー部の活躍はすごく刺激になっている」と語り、長津選手が好セーブを見せると大きな歓声を送っていた。

 昨年10月に左足のくるぶしを骨折したサッカー部の滝沢佑樹さん(3年)も声をからして応援した。骨折で落ち込む滝沢さんに、チームメートらが声をかけ、佐熊裕和監督も「チーム全員で戦おう」と励ましてくれた。

 試合後、滝沢さんは「骨折してチームのために頑張ろうという気持ちが強くなった。チームが一丸となれたことがうれしかった」と涙ながらに話していた。

◆吹奏楽部員も鼓舞

 学校関係者らで作る応援団が詰めかけた桐光学園のスタンドでは、約40人の吹奏楽部員が演奏でイレブンを鼓舞した。

 準決勝のこの日は、学校行事の3泊4日のスキースクール最終日と重なっていたため、部員ら生徒は長野県の志賀高原からバスで国立競技場に駆けつけた。練習時間は十分に取れなかったが、「いつも練習してきた曲だから大丈夫」と、自信を持って臨んだ。

 今大会のために重点的に練習した「イダレオ」など、選手の気持ちを高める曲を演奏する合間には、「頑張れ」と、声援も送った。サッカー応援リーダーの高橋渉さん(17)は「勝利につながらなくて残念」と悔しがっていた。

【読売新聞】