高校・クラブユースのチーム紹介ページ▼

【高校選手権】星稜躍進4強 団結力

第91回全国高校サッカー選手権大会(読売新聞社など後援)で4強に輝いた星稜イレブン。準決勝への進出はOBで日本代表の本田圭佑選手(CSKAモスクワ)がいた83回大会以来、8年ぶりだった。惜しくも「本田越え」はならなかったが、チームの躍進には「今までにない団結力」と「控えメンバーの活躍」があった。写真とともにベスト4への軌跡をたどる。(池田創)

■偉大な先輩

 「本田圭佑以来のベスト4」と言われたチームを河崎護監督は「今年は、本田のような傑出した選手はいなかった。ごくごく普通の選手たちだ。しかし団結力がある」と評価する。

 「本田さんが成し遂げたことはすごいが、特別に意識しないように、心がけました。お互いを助け合う団結力が強みだった」と、主将を務めた置田竣也選手(3年)は振り返る。「僕らのチームがお手本になるかは分からないが、後輩たちも一人ひとり、いいものを持っている。国立を目指して、また頑張ってほしい」と、エールを送る。

■100人超す部員

 名門の星稜高校サッカー部は部員100人を超える。レギュラーやベンチに入る約30人は「Aチーム」と言われ、部員はそのメンバーになることを目標として練習を続ける。今回の全国大会では、控え組の「Bチーム」にいた選手数人が、大会直前にレギュラーに抜擢されて、あこがれの全国大会のピッチに立ち、活躍した。昨年10月中旬に行われた紅白戦で、BチームがAチームに勝利する大番狂わせを起こしたからだ。

 初戦(2回戦)の松山工戦で2得点をあげた采女(うねめ)優輝選手(3年)もその一人だ。大阪府出身で高校入学と同時に寮生活。2年生の時は何度かAチーム入りすることもあったが、3年春にBチームに“降格”した。「Aチームに入るんだということをずっと信じ続けて練習した」という。練習が終わって寮に帰った後も、もう一度、学校に戻り練習したこともあった。

 采女選手は、初戦でゴールを決めた後、思わず観客席に走った。スタンドには、この1年間、ともに練習に励んだBチーム以下の部員たちが懸命に声援を送ってくれていた。「彼らと喜びを分かち合いたかった。特別すごい選手がいなくても、ベスト4までいける。後輩にはそのことを伝えたい」

 8年前の絶対的なエースが率いたチームが築いた同校最高記録に並び、突出した選手なしにチームワークで勝ち取った「国立の舞台」。新たなチーム作りの方向性を見いだした星稜が、念願の国立での栄冠をつかむ日は近い。

【読売新聞】