遠野高校(岩手県)
岩手県遠野市六日町に所在する岩手県立遠野高等学校のサッカー部。全国高校サッカー選手権大会に通算30回、全国高校総体(インターハイ)に通算22回の出場実績を誇る東北屈指の名門公立校である。「青と白のペンギン軍団」の愛称で親しまれ、1960年度(第39回)の選手権全国準優勝をはじめ、1968年度および2005年度には全国ベスト4へ進出。2005年度大会では岩手県勢として初めて国立競技場のピッチに立った。サッカーの町・遠野の誇りを胸に、日本代表やJリーガーなど数多の優秀なタレントを輩出し続けている。
目次
学校の設立と概要
岩手県立遠野高等学校は、1901年(明治34年)5月に「岩手県立遠野中学校」として授業を開始した歴史と伝統を誇る公立高等学校である。戦後の学制改革を経て1949年に現在の校名である「岩手県立遠野高等学校」となり、男女共学化された。所在地は岩手県遠野市六日町3番17号に位置している。
校訓に「修徳尚武」、校是に「師弟一如」を掲げ、全日制普通科を設置している。高い学力育成と進路実現に取り組む進学校であるとともに、「サッカーの町・遠野」を象徴する学校として全国から生徒を受け入れる「いわて留学(県外募集)」も実施している。地域社会や全国の同窓会から絶大な支援を受け、文武両道を重んじる教育環境が整っている。
サッカー部創部の経緯
遠野高校サッカー部は、戦後間もない1948年(昭和23年)5月に創部された。創部から3年後の1951年には岩手県大会で初優勝を達成。昭和30年代に入ると全国トップレベルの実力を発揮し始めた。
1960年度の第39回全国高校サッカー選手権大会において東北勢として初の全国決勝へ進出し、堂々の準優勝(全国第2位)を達成。1968年度(第47回大会)にも全国ベスト4に進出し、全国に「遠野」の名を轟かせた。
平成以降もその伝統は受け継がれ、2000年度(第79回大会)で全国ベスト8に進出。さらに2005年度(第84回大会)には快進撃を見せて準々決勝で広島観音を3-2で破り、岩手県勢として史上初となる国立競技場(全国ベスト4)の舞台に立った。2007年度(第86回大会)にも全国ベスト8に進出し、2023年度(第102回大会)には岩手県最多記録を更新する通算30回目の選手権全国出場を果たした。
現監督と指導陣
- 佐藤邦祥(さとうくによし)(在籍期間:監督)
遠野高校サッカー部OB。現役時代は2005年度の第84回全国高校サッカー選手権大会でセンターバックとして堅守を支え、岩手県勢初となる全国ベスト4進出に大きく貢献した。母校の指導者に就任後、チームを第102回全国選手権出場へ導くなど、伝統のコレクティブなパスサッカーを継承・進化させている。
- 松田光弘(まつだみつひろ)(在籍期間:元監督)
元監督。緻密な組織構築と徹底した走力・ハードワークを植え付け、2005年度選手権において岩手県勢初の国立4強進出を成し遂げた名将。
- 長谷川仁(はせがわひとし)(在籍期間:前監督)
遠野高校OB。前監督としてチームを幾度も選手権・インターハイ全国大会へ導き、安定した強さを維持した。
- 古前田充(こまえだみつる)(在籍期間:部活動指導員)
1950年生まれ、遠野高校OB。元日本代表選手として国際Aマッチで活躍し、指導者としてもJリーグ・ベルマーレ平塚の監督を務めたレジェンド。現在は部活動指導員として現場で指導にあたっている。
全国大会などでの成績
全国高校サッカー選手権大会に通算30回、インターハイに通算22回の出場実績を誇る。選手権では1960年度に全国準優勝、1968年度・2005年度に全国ベスト4(国立進出)を達成。1969年度・2000年度・2007年度にも全国ベスト8に進出している。高円宮杯 JFA U-18 サッカーリーグにおいてもプリンスリーグ東北への参戦歴を有し、東北トップレベルの強度の中で戦い続けている。
全国高校サッカー選手権大会
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1960年度 | 遠野 | 第39回全国高校サッカー選手権大会 | 準優勝(全国第2位) | 決勝 0-4 浦和市立(埼玉)/優勝・浦和市立(埼玉) |
| 1968年度 | 遠野 | 第47回全国高校サッカー選手権大会 | ベスト4(全国第3位) | 準決勝敗退/優勝・初芝(大阪) / 山陽(広島) |
| 1969年度 | 遠野 | 第48回全国高校サッカー選手権大会 | ベスト8 | 準々決勝敗退/優勝・浦和南(埼玉) |
| 2000年度 | 遠野 | 第79回全国高校サッカー選手権大会 | ベスト8 | 準々決勝 1-2 国見(長崎)/優勝・国見(長崎) |
| 2005年度 | 遠野 | 第84回全国高校サッカー選手権大会 | ベスト4(国立進出) | 岩手県勢初の国立進出/準々決勝 3-2 広島観音、準決勝 0-3 鹿児島実/優勝・野洲(滋賀) |
| 2007年度 | 遠野 | 第86回全国高校サッカー選手権大会 | ベスト8 | 準々決勝 0-2 流通経済大柏(千葉)/優勝・流通経済大柏(千葉) |
| 2010年度 | 遠野 | 第89回全国高校サッカー選手権大会(22回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-2 宇治山田商(三重))/優勝・滝川第二(兵庫) |
| 2011年度〜2012年度 | 遠野 | 全国高校サッカー選手権大会(岩手県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 岩手県代表は盛岡商/優勝・市立船橋(千葉) / 鵬翔(宮崎) |
| 2013年度 | 遠野 | 第92回全国高校サッカー選手権大会(23回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-1 東山(京都))/優勝・富山第一(富山) |
| 2014年度 | 遠野 | 第93回全国高校サッカー選手権大会(24回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 1-3 草津東(滋賀))/優勝・星稜(石川) |
| 2015年度 | 遠野 | 第94回全国高校サッカー選手権大会(25回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-3 東福岡(福岡))/優勝・東福岡(福岡) |
| 2016年度 | 遠野 | 第95回全国高校サッカー選手権大会(26回目) | 2回戦敗退 | 1回戦 2-0 松山北(愛媛)、2回戦 0-1 山形中央(山形)/優勝・青森山田(青森) |
| 2017年度 | 遠野 | 第96回全国高校サッカー選手権大会(27回目) | 2回戦敗退 | 初戦敗退(2回戦 1-2 作陽(岡山))/優勝・前橋育英(群馬) |
| 2018年度 | 遠野 | 第97回全国高校サッカー選手権大会(28回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-4 岡山学芸館(岡山))/優勝・青森山田(青森) |
| 2019年度 | 遠野 | 全国高校サッカー選手権大会(岩手県大会) | 県大会準優勝 | 岩手県代表は専大北上/優勝・静岡学園(静岡) |
| 2020年度 | 遠野 | 第99回全国高校サッカー選手権大会(29回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-5 神戸弘陵(兵庫))/優勝・山梨学院(山梨) |
| 2021年度〜2022年度 | 遠野 | 全国高校サッカー選手権大会(岩手県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 岩手県代表は専大北上 / 盛岡商/優勝・青森山田(青森) / 岡山学芸館(岡山) |
| 2023年度 | 遠野 | 第102回全国高校サッカー選手権大会(30回目) | 2回戦敗退 | 初戦敗退(2回戦 0-1 大津(熊本))/優勝・青森山田(青森) |
| 2024年度〜2025年度 | 遠野 | 全国高校サッカー選手権大会(岩手県大会) | 県大会準優勝 | 岩手県代表は専大北上/優勝・前橋育英(群馬) / 神村学園(鹿児島) |
全国高等学校総合体育大会(インターハイ)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2010年度〜2012年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(岩手県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 岩手県代表は盛岡商/各年度優勝校 |
| 2013年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(18回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-2 瀬戸内(広島))/優勝・市立船橋(千葉) |
| 2014年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(19回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 1-3 前橋育英(群馬))/優勝・東福岡(福岡) |
| 2015年度〜2017年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(岩手県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 岩手県代表は盛岡商 / 不来方/各年度優勝校 |
| 2018年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(20回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-1 徳島市立(徳島))/優勝・山梨学院(山梨) |
| 2019年度〜2022年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(岩手県大会) | 県大会準優勝・敗退 | 岩手県代表は専大北上 / 花巻東(2020年は中止)/各年度優勝校 |
| 2023年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(21回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-3 金沢学院大附(石川))/優勝・明秀学園日立(茨城) |
| 2024年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(22回目) | 1回戦敗退 | 初戦敗退(1回戦 0-2 東海大相模(神奈川))/優勝・昌平(埼玉) |
| 2025年度 | 遠野 | 全国高校総体(インターハイ)(岩手県大会) | 県大会準優勝 | 決勝 0-2 専大北上/優勝・神村学園(鹿児島) |
高円宮杯 JFA U-18 サッカーリーグ
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名 | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2015年度 | 遠野 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ東北 | 7位 | プリンス東北残留/優勝・尚志 |
| 2016年度 | 遠野 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ東北 | 8位 | プリンス東北残留/優勝・ベガルタ仙台ユース |
| 2017年度 | 遠野 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ東北 | 7位 | プリンス東北残留/優勝・青森山田2nd |
| 2018年度 | 遠野 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ東北 | 8位 | プリンス東北残留/優勝・尚志 |
| 2019年度 | 遠野 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ東北 | 10位 | 岩手県i.League 1部へ降格/優勝・青森山田2nd |
| 2020年度 | 遠野 | 岩手県U-18リーグ(i.League 1部) | 2位 | 特別大会(昇降格なし)/優勝・専大北上 |
| 2021年度 | 遠野 | 岩手県U-18リーグ(i.League 1部) | 3位 | 県リーグ残留/優勝・花巻東 |
| 2022年度 | 遠野 | 岩手県U-18リーグ(i.League 1部) | 2位 | 県リーグ残留/優勝・専大北上 |
| 2023年度 | 遠野 | 岩手県U-18リーグ(i.League 1部) | 優勝 | プリンスリーグ東北プレーオフ進出 |
| 2024年度 | 遠野 | 岩手県U-18リーグ(i.League 1部) | 優勝 | プリンスリーグ東北プレーオフ勝利・昇格決定 |
| 2025年度 | 遠野 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ東北 | 9位 | 岩手県i.League 1部へ降格/優勝・尚志 |
| 2026年度 | 遠野 | 岩手県U-18リーグ(i.League 1部) | 参戦中 | プリンス東北復帰を目指し参戦中 |
部員数と練習環境
部員数は各学年約20〜25名、全体で約60〜70名が在籍している。トップチーム(Aチーム)とセカンドチーム(Bチーム)を編成し、i.Leagueや東北ルーキーリーグ等で全員が公式戦経験を積んでいる。
練習環境はサッカーの町ならではの恵まれたインフラを誇る。学校グラウンドのほか、遠野市内に整備された「遠野運動公園多目的運動広場(人工芝・天然芝ピッチ)」や国体記念サッカー場を日常的に使用。夜間照明付きのピッチで質の高いトレーニングを行っている。
チームの特徴とユニフォーム
プレースタイルは、伝統の「青と白のペンギン軍団」の異名通り、規律ある組織的ディフェンスと、人とボールが絶え間なく連動する美しいパスサッカーである。全員が献身的に走り抜くタフさと、局面を打開する技術を兼ね備えている。
ユニフォームは伝統の「青(ブルー)」と「白(ホワイト)」の配色が特徴である。フィールドプレーヤーの正ユニフォーム(HOME)は青を基調としたシャツに白パンツ、副ユニフォーム(AWAY)は白を基調としている。胸部には「遠野」「TONO」の文字が刻まれ、全国の高校サッカーファンに親しまれている。
寮生活・下宿環境
遠野市外や岩手県外からの入学生を受け入れるため、公立高校でありながら充実した下宿環境や寄宿舎が整備されている。栄養バランスの取れた食事が提供され、遠野の豊かな自然環境の中でサッカーと学業に集中できる生活基盤が整っている。
地域ぐるみでサッカー部員を支える温かい風土があり、規則正しい集団生活を通じて礼儀正しさや自立心が育まれている。
セレクション情報と入試案内
遠野高校の普通科は、岩手県立高校入試制度(一般選抜・推薦選抜)によって入学者選抜が行われる。また、全国から生徒を受け入れる「いわて留学」の対象校となっており、県外出身の有望なサッカー選手も多数受検している。普通科の偏差値目安は45〜48程度である。
卒業生の多くは、関東や東北の強豪大学サッカー部(仙台大学、八戸学院大学、国士舘大学、流通経済大学など)へ進学して競技を継続している。
プロサッカー選手を輩出したOB一覧
岩手県立遠野高等学校サッカー部からプロサッカー界へ進出した主なOB選手は以下の通りである。
- 古前田充(こまえだみつる)(1968年度卒/1950年4月14日生)
ポジション:ミッドフィールダー(MF)。遠野高校から大阪商業大学を経てフジタ工業でプレー。元日本代表選手であり、引退後はベルマーレ平塚監督などを務めた。
- 五十嵐和也(いがらしかずや)(1983年度卒/1965年10月24日生)
ポジション:ディフェンダー(DF)。遠野高校卒業後、古河電工に入団。ジェフユナイテッド市原、横河電機で活躍した。
- 菊池新吉(きくちしんきち)(1985年度卒/1967年4月12日生)
ポジション:ゴールキーパー(GK)。遠野高校卒業後、読売クラブに入団。ヴェルディ川崎、川崎フロンターレ、東京ヴェルディで活躍し、日本代表GKとして国際Aマッチに出場した。
- 奥友敏朗(おくともとしあき)(1987年度卒/1969年8月13日生)
ポジション:ディフェンダー(DF)。遠野高校卒業後、住友金属を経て鹿島アントラーズに所属した。
- 菊池利三(きくちとしみ)(1991年度卒/1973年6月17日生)
ポジション:ディフェンダー(DF)。遠野高校卒業後、ヴェルディ川崎に入団。ガンバ大阪、サンフレッチェ広島、大宮アルディージャなどで活躍し、いわてグルージャ盛岡監督も務めた。
- 菊池直喜(きくちなおき)(1991年度卒/1973年7月3日生)
ポジション:ミッドフィールダー(MF)。遠野高校卒業後、ヤマハ発動機を経てジュビロ磐田に所属した。
- 照井篤(てるいあつし)(1998年度卒/1980年7月19日生)
ポジション:ディフェンダー(DF)。遠野高校から国士舘大学を経て湘南ベルマーレ、FC琉球などでプレーした。
- 藤嶋洸(ふじしまひかる)(2007年度卒/1989年4月5日生)
ポジション:ディフェンダー(DF)。遠野高校から日本体育大学を経てグルージャ盛岡、ヴァンラーレ八戸に所属した。
- 岩渕弘人(いわぶちひろと)(2015年度卒/1997年9月17日生)
ポジション:フォワード(FW)。遠野高校から仙台大学を経ていわきFCに入団。ファジアーノ岡山、ベガルタ仙台で活躍している。
- 栗澤陸(くりさわりく)(2021年度卒/2003年7月31日生)
ポジション:ミッドフィールダー(MF)。遠野高校から八戸学院大学を経てヴァンラーレ八戸に加入した。



















