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【クラブユースサッカー選手権2013】横浜FMユースが広島ユースに競り勝ち13年ぶりの優勝

第37回adidas cup 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)は準決勝が行われ、横浜FMユースがサンフレッチェ広島ユースを延長戦の末、4-1で勝利し、2000年以来の13年ぶりの優勝となった。

 立ち上がり、両チームとも守備が落ち着かず、横浜は1回、広島は2回決定機を向かえるが決めきれない。お互い攻め合う展開が続いていたが、チャンスを作っていたのは、広島だ。横浜の最終ラインからつないでいくボールをボランチ付近でカット、すると、1トップの越智に当てたり、高いラインに貼っている広島のMF横山に預け、ドリブルや多彩なクロスボールでチャンスを演出する。一方の横浜は、左サイドの汰木のドリブルや左SBの尾身の突破でこちらもチャンスを作るが、ゴールを奪えず、前半を0-0の終了で折り返す。両チーム確かな技術で、停めて蹴る技術が安定しており、ドリブルとパスワークを駆使した好ゲームとなる。

 後半になると、今大会の広島ユースは後半になると、前日に引き続き、プロ契約したMF宮原を投入、横山の右だけでなく、左サイドからも攻勢をかけようとする。すると53分広島ユースは左サイド川辺とのパス交換から宮原抜け出し、フリーの状態へ、右足でカーブをかけ、狙いすましたシュートはゴール右上の隅に入り、1-0でリードする。横浜のGK、U16日本代表田口ですら一歩も動けない素晴らしいゴールだ。その後も広島は、ボランチ野口が最終ラインに下がったり、ボランチの位置から巧みにゲームを組み立て、広島ペースが続く。

ここから横浜の松橋監督は交代のカードが2枚切る。武颯→新里涼、田中健太→田崎遼太郎と前線の2枚を代えて攻勢をかける。そして70分、横浜は交代した田崎のパスをPA内で壁パスを右から直線的に走り込んだ田崎が受け、そのまま左足でゴール左隅へコントロールシュート、横浜が同点に追いつき、試合は10ハーフの延長戦に入る。

延長に入ると、広島の運動量が急激に落ち、前線の3枚を交代させた横浜が躍動し始める。そして後半、横山の対応で守備に回っていた汰木がここから攻撃的になる。広島のボールを奪うと自ら長い距離をドリブルでボールを左サイドへ運びチャンスを作り続ける。横浜FMは汰木が左サイドのスペースを上がっていき左PAで粘る。粘ってグラウンダーのクロス。PAで瀬賀が受けるもPA内の混戦で打てず。こぼれたボールに新里が反応し、豪快に蹴り込み横浜が逆転する。

延長後半にも、田崎からのクロスをGKが弾いたボールが新里の元へ、新里はハーフボレーで強引に蹴り込み3-1とする。その2分後には、田崎がフリーの状態でGKの正面を豪快にぶち抜く1発で完全に勝負あり。4-1で横浜の優勝となった。

両チームとも互角の戦いに見えたが、勝負は選手層が厚い横浜の交代だったと思う。武颯→新里涼、10田中 健太 → 17田崎 遼太郎、11深澤 知也 → 15瀬賀 悟と前線の3枚の交代で、息を吹き返し、試合の後半終盤以降は完全に主導権を握っていた。一方の広島は後半開始の19椿本 啓祐 → 8宮原 和也と延長後半開始の18濱中 優作 → 37長沼 洋一の2枚のみ、延長に入り、明らかに疲れが見えていた。広島のサッカーは攻撃時と守備持は5枚のラインになり、攻守に人数をかける布陣だ。そうなると両サイドのMFの運動量が生命線だ。今大会のような暑さの中の連戦では、キツい戦いになったでだろう。

しかし、広島にとっては過度に落胆する敗戦ではない。DF大谷、MF野口、川辺、宮原、横山、FW越智と個でクオリティを発揮できるタレントが揃っており、プレミアウエストでも首位、Jユースでも優勝候補の筆頭だと思う。

横浜ユースは決勝トーナメントで柏、札幌、G大阪、決勝でも広島を破っての優勝は、素晴らしいの一言だ。GKの田口の安定感はプロで十分通用するレベルだ。キャッチ、ポジションニングと判断力の精度が高い。DFの長田は、180cmのCBスピードもあり、もう少し身長が伸び、ビルドアップの精度が上がると楽しみな選手だ。左SBの尾身は相手の動きを見ながら、ドリブルができている。MFの長坂は攻守に能力が高い。尾身と長坂はプリンスの浦和戦と比べ格段に安定感が増している。MFの汰木は、独特のボールタッチと長身を活かした懐に深いボールキープは中村俊輔を見ているようだ。FMの武と深澤はスピード豊かな選手、途中出場の田崎のドリブルも疲れの見えている広島の守備をかく乱させた。そして、2得点を上げた新里は勝負強い選手、ボランチの選手かと思っていたが、相手を背にしたボールキープと準決勝に続き、勝負を決めた決定力は素晴らしかった。