史上初めて雪による悪天候で延期になった決勝に向け、ともに初優勝を狙う両校は18日、最後の調整を行った。京都橘はFW仙頭(せんとう)啓矢(3年)が痛めていた左太もも裏がほぼ完治。過去にあと一歩で勲章を逃してきたエースが“持ってない男”返上を誓った。いったん帰郷していた鵬翔は、一流ピッチの無償利用など地元のバックアップを受けて練習後に関東入りした。
恵みの雪としか思えない。埼玉県内で調整した京都橘は3日ぶりに実戦形式を行い、セットプレーを入念に確認。大会5試合4得点の仙頭は「延期のおかげでけがは9割戻った。最高のモチベーションで臨めると思う」と自信をにじませた。
実は“持ってない”男だった。中学入学時、JFAアカデミーの選考は最終手前の4次審査でアウト。昨年8月にバルセロナで開催された、ナイキ主催の世界的スカウトプロジェクト「THE CHANCE」も最終目前で落選。小学生時代も優勝には縁がなく、母・朋子さん(40)に言わせれば「ツメが甘い」。それでも今大会は決勝までけん引し、大会得点王のFW小屋松知哉(2年)は「この代はハプニングが多い。何か持っている」と先輩を持ち上げた。
寒波がもたらした特別な5日間をムダにはしない。17日から宿舎が埼玉から東京・池袋に移動。自由時間に街に繰り出す仲間もいる中、仙頭は部屋にこもって治療に専念。高校サッカー中継の歴代テーマソング集を聴くなど、集中力をキープしてきた。「とにかく楽しみ。先制点にこだわりたい」。京都のせんとくんが、仕切り直し決戦で男を上げる。
【スポーツ報知】