武蔵越生高校(埼玉県)
埼玉県入間郡越生町に所在する学校法人越生学園・武蔵越生高等学校のサッカー部。全国屈指の超激戦区として知られる埼玉県高校サッカー界において、常に上位を脅かす実力派強豪校として名を馳せる。1996年には全国高校総体(インターハイ)初出場を果たし全国の舞台を経験したほか、2020年度の第99回全国高校サッカー選手権大会埼玉県予選では見事に初の決勝進出(準優勝)を果たすなど、県内トップクラスの競技力を証明し続けている。「MO」の愛称でも親しまれ、緑と黒を基調としたユニフォームを身にまとい、規律あるチーム組織と強度の高いハードワークを武器に、Jリーガーやプロ指導者を含む数多くの優秀なフットボーラーを輩出し続けている。
目次
学校の設立と概要
武蔵越生高等学校は、1952年(昭和27年)に創立された歴史ある私立高等学校である。豊かな自然に恵まれた埼玉県西部・越生町の地に、地域社会の発展と有為な青少年の育成を期して設立された「越生実業学校」をその起源とする。その後、時代の要請や教育環境の変化に対応しながら校名を「越生高等学校」へと改称し、実務教育と人間教育の両面で実績を重ねてきた。
大きな転換期となったのは1993年(平成5年)である。校名を現在の「武蔵越生高等学校」へと改称するとともに、それまでの男子校体制から男女共学へと移行を果たした。これに伴い普通科内に多様なコース制が導入され、進学指導体制やスポーツ・文化活動の環境整備が一気に加速した。建学の精神や校訓に基づき、「誠実」「努力」「感謝」の心を育む全人教育を推進し、一人ひとりの個性と可能性を最大限に引き出す指導を展開している。
現在では「S特進コース」「選抜Ⅰコース」「選抜Ⅱコース」「アスリート選抜コース」といった目的別の明確なコース編成を擁し、難関大学進学を目指す生徒から全国大会出場を志すトップアスリートまで、多様な生徒が切磋琢磨する活力ある学園生活が築かれている。自然豊かな広大な敷地内には最新の教育設備や体育施設が整えられ、文武両道を高い次元で実践する魅力的な教育環境が確立されている。
サッカー部創部の経緯
武蔵越生高等学校サッカー部は、学校の発展とともに創部され、半世紀以上にわたって埼玉県高校サッカー界の歴史を歩んできた。創部初期から地域に根ざしたチーム作りを進め、地道な基礎練習とチームワークの強化を徹底。伝統的に厳しい守備組織と献身的な走力を基盤としたフットボールを展開し、着実に県西部地区から県全体へとその名を広げていった。
チームの歴史における大きな金字塔となったのが、1996年(平成8年)の全国高校総体(インターハイ)埼玉県予選である。当時、武南高校や市立浦和高校、大宮東高校といった全国レベルの強豪がひしめく激戦区・埼玉において快進撃を演じ、埼玉県第2代表の座を勝ち取って創部史上初となるインターハイ全国大会出場を達成した。この全国大会出場は学校全体に大きな自信と誇りをもたらし、武蔵越生サッカー部が全国基準を意識する契機となった。
2000年代以降も県内の上位争いに定着し、県リーグの最高峰である「S1リーグ(埼玉県1部リーグ)」において強豪校やJクラブ下部組織と日常的にしのぎを削る環境を維持。2020年度(第99回)の全国高校サッカー選手権埼玉県予選では、強豪校を次々と撃破してチーム史上初となる選手権県予選決勝進出を果たし、準優勝に輝いた。激戦区・埼玉において常に上位進出のインパクトを残し続ける伝統校である。
現監督と指導陣
- 井上精二(いのうえせいじ)(在籍期間:監督就任中)
武蔵越生高校サッカー部を率いる指揮官。徹底した規律と献身的なハードワーク、球際の強度を重んじるチーム作りを推進し、選手一人ひとりの戦術理解力と技術力を引き出す指導を展開する。2020年度の第99回全国高校サッカー選手権埼玉県予選では、堅守速攻と高い集中力を発揮させてチームを史上初の県決勝進出(準優勝)へ導いた。強豪ひしめく埼玉県S1リーグにおいても常に高い競争力を維持し、粘り強く戦い抜く勝負強さを植え付けている。
- 西澤秀樹(にしざわひでき)(在籍期間:総監督等歴任)
長年にわたり武蔵越生高校サッカー部の強化と発展に尽力してきた指導者。チームの組織づくりと戦術基盤の構築に深く関わり、全国総体出場や県内上位進出の礎を築いた。
このほか、経験豊富なコーチ陣やGKコーチ、アスレティックトレーナー、メディカルスタッフが連携し、選手のフィジカル測定やコンディショニング管理を科学的にサポートする充実した指導体制が整えられている。
全国大会などでの成績
全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会においては、長年にわたり決勝トーナメントの常連として上位進出を果たしている。特に2020年度の第99回大会では、持ち前の強固な守備組織と鋭いカウンターを武器に快進撃を続け、チーム史上初となる決勝戦へ進出。決勝では全国屈指の強豪・昌平高校と対戦し、惜しくも0-3で敗れたものの堂々の埼玉県準優勝を達成した。その後も2021年度(第100回大会)、2022年度(第101回大会)と連続して県ベスト8に進出するなど、埼玉屈指の強豪としての存在感を強く印象づけている。
全国高等学校総合体育大会(インターハイ)においては、1996年度に埼玉県予選を突破し、創部史上初となる全国高校総体への出場を果たした。激戦の埼玉県予選を勝ち抜いて掴んだ全国の舞台であり、チームの歴史に燦然と輝く実績となっている。近年も県予選において常にシード校として上位に名を連ね、再びの全国切符獲得を目指して熱戦を繰り広げている。
高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグにおいては、埼玉県内の高校年代最高峰カテゴリーである「S1リーグ(埼玉県1部リーグ)」に長年所属。昌平高校、西武台高校、武南高校、正智深谷高校などの高体連トップチームや浦和レッズ・大宮アルディージャ等のU-18Bチームとハイレベルな年間リーグ戦を戦い、トップレベルの強度と戦術眼を培っている。
全国高校サッカー選手権大会(埼玉県大会)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1996年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | 決勝トーナメント敗退 | 優勝・市立浦和(埼玉) |
| 2018年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | 決勝トーナメント1回戦敗退 | 優勝・浦和南(埼玉) |
| 2019年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | 決勝トーナメント2回戦敗退 | 優勝・昌平(埼玉) |
| 2020年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | 準優勝 | 創部史上初の決勝進出/優勝・昌平(埼玉) |
| 2021年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | ベスト8(準々決勝敗退) | 優勝・西武台(埼玉) |
| 2022年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | ベスト8(準々決勝敗退) | 優勝・昌平(埼玉) |
| 2023年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | 決勝トーナメント3回戦敗退 | 優勝・昌平(埼玉) |
| 2024年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | 決勝トーナメント2回戦敗退 | 優勝・正智深谷(埼玉) |
| 2025年度 | 武蔵越生 | 全国高校サッカー選手権大会埼玉県大会 | 決勝トーナメント敗退 | 優勝・正智深谷(埼玉) |
全国高等学校総合体育大会(インターハイ)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1996年度 | 武蔵越生 | 全国高校総体(インターハイ)(1回目) | 全国大会出場(1回戦敗退) | 全国総体初出場/優勝・市立船橋(千葉) |
| 2021年度 | 武蔵越生 | 全国高校総体埼玉県予選 | ベスト8(準々決勝敗退) | 優勝・正智深谷(埼玉) |
| 2022年度 | 武蔵越生 | 全国高校総体埼玉県予選 | 支部予選・県大会敗退 | 優勝・昌平(埼玉) |
| 2023年度 | 武蔵越生 | 全国高校総体埼玉県予選 | ベスト8(準々決勝敗退) | 優勝・武南(埼玉) |
| 2024年度 | 武蔵越生 | 全国高校総体埼玉県予選 | 県大会3回戦敗退 | 優勝・昌平(埼玉) |
| 2025年度 | 武蔵越生 | 全国高校総体埼玉県予選 | 県大会2回戦敗退 | 優勝・昌平(埼玉) |
高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ(埼玉県リーグ・Sリーグ)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名 | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 武蔵越生 | 高円宮杯 JFA U-18埼玉県S1リーグ | 6位 | 優勝・昌平高校B(埼玉) |
| 2022年度 | 武蔵越生 | 高円宮杯 JFA U-18埼玉県S1リーグ | 7位 | 優勝・昌平高校B(埼玉) |
| 2023年度 | 武蔵越生 | 高円宮杯 JFA U-18埼玉県S1リーグ | 8位 | 優勝・正智深谷(埼玉) |
| 2024年度 | 武蔵越生 | 高円宮杯 JFA U-18埼玉県S1リーグ | 8位 | 優勝・昌平高校B(埼玉) |
| 2025年度 | 武蔵越生 | 高円宮杯 JFA U-18埼玉県S1リーグ | 8位(S1残留) | 優勝・西武台(埼玉) |
部員数
総部員数は約120名(3年生約40名、2年生約40名、1年生約40名)の大所帯で構成されている。部員全員が高い向上心を持って日々のトレーニングに励み、激しいチーム内競争を通じて個々の能力を高め合っている。
カテゴリー構成および活動実態は以下の通りである。
- Aチーム(トップチーム):高円宮杯埼玉県S1リーグ、全国高校総体埼玉県予選、全国高校サッカー選手権埼玉県予選に参戦
- Bチーム:高円宮杯埼玉県S2リーグ(または支部1部リーグ)に参戦
- Cチーム/サテライト:埼玉県西部支部リーグ各カテゴリーに参戦
- U-16(1年生チーム):埼玉県U-16ルーキーリーグおよび各種研修リーグ・強化フェスティバルに参戦
部員の主な出身チームとしては、埼玉県内の強豪ジュニアユース(坂戸ディプロマッツ、FCコルージャ、フォルチFC、EC JOGADOR、1FC川越水上公園、HAN FC、アビリスタなど)をはじめ、東京都や近隣各県のタウンクラブ、中学校体育連盟(中体連)選抜選手など、多様なバックボーンを持つ選手が集い、互いに切磋琢磨している。
練習環境は、校内に併設されたサッカー専用グラウンド(照明設備完備)を中心に、ウエイトトレーニング施設やミーティングルームを活用。放課後の限られた時間を効率的に使い、強度の高い実践的トレーニングとフィジカルトレーニング、戦術ミーティングを計画的に実施している。
ユニフォーム
ユニフォームサプライヤーはMIZUNO(ミズノ)を採用している。ファーストユニフォーム(HOME)は、チーム伝統の「シャツ:緑(グリーン)、パンツ:黒(ブラック)、ソックス:緑(または黒)」の力強いツートンカラーが象徴である。鮮やかなグリーンと引き締まったブラックのコントラストがピッチ上で強い存在感を放つ。セカンドユニフォーム(AWAY)は、クリーンな「白(ホワイト)」を基調とし、「シャツ:白、パンツ:白、ソックス:白」の組み合わせを採用している。GKユニフォームにはフィールドプレイヤーと識別しやすい赤色、黄色、青色などが用意されている。
胸には学校名「MUSASHI OGOSE」が刻まれ、チームのアイデンティティと誇りを表現している。また、トレーニングウェアやチームジャージも統一され、一体感と規律あるチーム文化が確立されている。
寮・生活環境
武蔵越生高校サッカー部では、埼玉県内のみならず東京都、群馬県、栃木県など近隣都県や遠方から進学・入部を希望する生徒を受け入れる態勢が整えられている。学校周辺には指定の下宿や提携受入先があり、通学圏外の選手も安心して学業とサッカーに専念できる環境が確保されている。
寮費・生活費等の諸経費に関しては、提携物件や契約形態、食事の提供条件(朝夕2食付き等)によって異なるため公式な一括固定額は非公開となっており、学校およびクラブの規定に基づいて適切に案内・運用されている。
遠方からの生徒や寮生・下宿生は、規則正しい生活習慣を身につけ、日々のハードな練習と学業を両立させるための自己管理能力を培う。栄養バランスの整った食事環境や休養の確保、仲間と共に過ごす共同生活を通じて、社会に出ても通用する自立心や人間性が育まれている。
入学・入部案内
中学生(主に中学3年生)を対象としたサッカー部の部活動体験会・練習会は、例年夏期(7月中旬〜8月下旬頃)を中心に学校グラウンドにて複数回開催されている。練習会はオープン参加形式および所属チーム指導者からの推薦・打診によって実施され、公式ホームページ等で募集要項が案内される。
入学後の入部資格に関しては、一般入試で合格した生徒であってもサッカー部への入部は制度上可能である。ただし、県内最高峰のS1リーグを戦い100名を超える大所帯であるため、高い競技レベルと厳しい日々のトレーニングに意欲を持って取り組む覚悟が求められる。
偏差値目安および設置コースは以下の通りである。
- 普通科 S特進コース:偏差値目安 58〜60(国公立・最難関私立大学合格を目指す)
- 普通科 選抜Ⅰコース:偏差値目安 52〜54(有名私立大学・中堅私立大学進学を目指す)
- 普通科 選抜Ⅱコース:偏差値目安 46〜48(大学進学・専門進路を幅広く見据える)
- 普通科 アスリート選抜コース:偏差値目安 42〜44(部活動と学業を両立し全国大会出場・スポーツ推薦進学を目指す)
推薦入試の有無について、私立高校である武蔵越生高校では「単願推薦」「併願推薦」の各種推薦入試制度が設けられている。特にアスリート選抜コースでは、中学校での部活動実績や運動能力を重視したスポーツ推薦枠が活用され、優秀な選手が毎年多数進学している。
※これらの情報は年度・情勢により変動するため、あくまで参考情報となります。最新かつ正確な情報は必ず学校・クラブ公式HPをご確認いただくか、直接お問い合わせください。
チーム強化・指導方針
武蔵越生高校サッカー部の指導方針の根底にあるのは、徹底した「ハードワーク」「強固な守備組織」「勝負への執着心」である。ピッチに立つ11人全員が労を惜しまず連動してプレッシングをかけ、自陣ゴール前では体を張ってシュートブロックを行う泥臭い守備は、歴代のチームに受け継がれてきた揺るぎないアイデンティティである。
強固なディフェンスからボールを奪えば、極めてスピーディーに相手の背後やサイドのスペースを突く鋭い「堅守速攻」を展開。これに加えて近年では、近代サッカーのトレンドを取り入れたポゼッションやサイドチェンジ、個の打開力を活かしたコンビネーションなど、局面に応じた柔軟な攻撃の引き出しを増やす強化が進められている。
また、フィジカルデータの科学的測定(スプリント力、敏捷性、筋力等の数値化)を定期的に導入し、選手個々の課題を客観的に把握して効率的な身体作りを推進。ピッチ内での技術・戦術指導のみならず、「挨拶・礼儀・時間厳守・感謝の心」といった人間教育を徹底し、高校サッカーを通じて社会で逞しく活躍できる人材の育成に力を注いでいる。
主なプロ選手一覧
- 1990年度卒:安藤正裕(越生高校[現・武蔵越生高校] → 国士舘大学 → 清水エスパルス → ジュビロ磐田 → 横浜F・マリノス → 大宮アルディージャ → ガンバ大阪 → ベガルタ仙台 → 大宮アルディージャ → 京都パープルサンガ)※元日本代表(国際Aマッチ1試合出場)
- 1995年度卒:森直樹(武蔵越生高校 → 道都大学 → セレッソ大阪 → 水戸ホーリーホック)※現水戸ホーリーホック・フットボールダイレクター/元監督(2025年J2優勝・J1昇格達成)
- 1999年度卒:冨士祐樹(武蔵越生高校 → 国士舘大学 → 大塚製薬/徳島ヴォルティス → ニューウェーブ北九州/ギラヴァンツ北九州 → FC岐阜 → 鈴鹿アンリミテッドFC)
- 2002年度卒:吉野一基(武蔵越生高校 → 道都大学 → ノルブリッツ北海道 → アルビレックス新潟シンガポール → ウッドランド・ウェリントンFC → シーサケートFC → ブラウブリッツ秋田 → ツエーゲン金沢 → マグエFC → ヤンゴン・ユナイテッドFC)
※プロ契約実績およびJリーグ、JFL、海外プロリーグ等でのプレー実績が確認できた選手を掲載している。卒業年度の算出は規定に基づき、早生まれ(1〜3月生)は生年+18、通常(4〜12月生)は生年+19で計算している。

























