専修大学松戸高校(千葉県)
千葉県松戸市上本郷を本拠地とする私立・専修大学松戸中学校・専修大学松戸高等学校(学校法人専修大学松戸高等学校)のサッカー部。「専松(せんまつ)」の愛称で親しまれ、市立船橋や流通経済大柏などの全国屈指の強豪がひしめく千葉県において、近年着実に実力を伸ばしている新進気鋭の強化指定部である。独自の探究型・身体操作アプローチを取り入れた指導法で注目を集め、浮氣哲郎や小柳達司をはじめとするプロサッカー選手を輩出している。
目次
学校の設立と概要
専修大学松戸高等学校は、1958年(昭和33年)12月12日に学校法人専修大学を設置者として設置認可を受け、1959年(昭和34年)4月に開校した私立高等学校である。創立当初の設立代表者は学校法人専修大学理事長であり、自由民主党副総裁などを歴任した川島正次郎氏が務めた。開校当初は松戸市小金公民館を仮校舎として授業を開始し、同年7月に木造校舎が落成して本格的な教育活動がスタートした。
1960年(昭和35年)2月には設置者が学校法人専修大学松戸高等学校へと変更認可され、専修大学の系属校としての運営体制が確立された。2000年(平成12年)4月には専修大学松戸中学校が開校して中高一貫教育を導入。教育方針として「報恩奉仕」「質実剛健」「誠実力行」の建学の精神を掲げ、学力重視の類型制(X・E・A・S類型)を採用している。
2009年(平成21年)には創立50周年記念事業としてメイングラウンドが全面人工芝化された。スポーツ面では野球部が春夏通じて甲子園に出場し、ラグビー部や陸上競技部などとともにサッカー部も「強化指定部」に位置づけられ、文武両道の進学校でありながら全国レベルの部活動を展開している。
サッカー部創部の経緯
専修大学松戸高等学校サッカー部は、高校開校間もない1960年代に創部された(学校設立初期より活動開始)。激戦区として名高い千葉県内において、長年にわたり公立・私立の強豪がひしめく中で着実な強化を重ねてきた。
2000年に併設の専修大学松戸中学校が開校してサッカー部が設立されると、中高一貫での育成環境が整い始めた。さらに2009年度には高校の類型制においてスポーツ推薦を受け入れる「S類型」が再整備され、サッカー部も学校の「強化指定部」として位置づけられたことで、県内外から優れたタレントが集まる基盤が構築された。
近年の千葉県高校サッカー界は、全国優勝経験を持つ市立船橋や流通経済大柏が全国トップレベルの戦力を誇る最激戦区であるが、専修大学松戸はその牙城に挑むダークホースとして急成長を遂げた。2019年度の第98回全国高校サッカー選手権千葉県予選で第3位(ベスト4)に進出して脚光を浴びると、2025年度には高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉1部で見事に初優勝を飾り、プリンスリーグ関東参入戦へ進出するなど、名実ともに千葉のトップ集団に名乗りを上げている。
現監督と指導陣
- 野村太祐(のむらたいすけ)(在籍期間:2010年代〜在任中)
専修大学松戸高校教諭およびサッカー部監督。選手の主体性と内発的動機付けを最大限に引き出すユニークな指導でチームを千葉県トップクラスへと押し上げた。戦術指導にとどまらず、練習前に「哲学対話」を取り入れて選手同士の自己開示と対話力を養うほか、身体の連動性や脱力を学ぶために古武術の身体操作をトレーニングに導入するなど、独自の育成アプローチを確立。2025年度の高円宮杯千葉県1部リーグ優勝や選手権予選ベスト4など、激戦区千葉で強豪校と互角以上に渡り合うチームを創り上げた。
指導体制には監督の野村氏を中心に、コーチの伊藤秀作氏、石井翔氏、斎藤出氏、上村竜一氏、永田拓哉氏らが名を連ねており、複数カテゴリーの選手に対してきめ細やかな戦術・技術指導およびコンディショニングを行っている。
全国大会などでの成績
専修大学松戸高校サッカー部は、市立船橋・流通経済大柏・習志野・八千代など全国王者が群雄割拠する千葉県大会において、近年目覚ましい躍進を見せている。全国高校サッカー選手権大会の全国大会本戦出場はまだ果たせていないものの、千葉県予選では2019年度(第98回大会)に準決勝まで進出し、堂々の第3位(ベスト4)入賞を果たした。その後も2025年度大会などで市立船橋を撃破するなど強豪キラーとして名を馳せ、4大会ぶりとなる県ベスト4へ進出するなど、全国大会への出場権獲得まであと一歩のところまで迫っている。
夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)千葉県予選においても、シード校として上位トーナメントの常連となっており、ベスト8やベスト16へコンスタントに進出して県内のシード権を堅持している。
高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグにおいては、長年所属してきた千葉県リーグで着実にステップアップを重ねてきた。千葉県1部リーグ(Div.1)に定着したトップチームは、強豪校のセカンドチームやJユースBチームを相手に拮抗した戦いを展開し、2025年度の高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉1部で見事に優勝を達成。高円宮杯プリンスリーグ関東2部参入戦への出場権を獲得した。セカンドチームや下級生チームも県2部・県3部・ルーキーリーグ等で上位を争っており、層の厚さを証明している。
高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会(※2010年まで開催)については、全国本戦への出場歴はなく、激戦の千葉県予選・関東予選で敗退している。
全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2018年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 決勝T敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は流通経済大柏/優勝・青森山田(青森) |
| 2019年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 千葉県大会ベスト4(第3位) | 千葉県代表は市立船橋/優勝・静岡学園(静岡) |
| 2020年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 決勝T敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は市立船橋/優勝・山梨学院(山梨) |
| 2021年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 決勝Tベスト8(準々決勝敗退) | 千葉県代表は流通経済大柏/優勝・青森山田(青森) |
| 2022年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 決勝T敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は日体大柏/優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2023年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 決勝T敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は市立船橋/優勝・青森山田(青森) |
| 2024年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 決勝T敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は流通経済大柏/優勝・前橋育英(群馬) |
| 2025年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 千葉県大会ベスト4(準決勝敗退) | 千葉県代表は流通経済大柏/優勝・神村学園(鹿児島) |
| 2026年度 | 専大松戸 | 全国高校サッカー選手権大会(千葉県大会) | 県大会進行中 | 優勝校はシーズン中のため未確定 |
全国高等学校総合体育大会(インターハイ・千葉県大会)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2018年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は習志野・市立船橋/優勝・山梨学院(山梨) |
| 2019年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は日体大柏・流通経済大柏/優勝・桐光学園(神奈川) |
| 2020年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ) | 大会中止 | 新型コロナウイルスの影響(出場回数には含めず) |
| 2021年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会ベスト8 | 千葉県代表は流通経済大柏・市立船橋/優勝・青森山田(青森) |
| 2022年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は市立船橋・日体大柏/優勝・前橋育英(群馬) |
| 2023年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会ベスト8 | 千葉県代表は市立船橋・流通経済大柏/優勝・明秀学園日立(茨城) |
| 2024年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は市立船橋・流通経済大柏/優勝・昌平(埼玉) |
| 2025年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は流通経済大柏・市立船橋/優勝・神村学園(鹿児島) |
| 2026年度 | 専大松戸 | 全国高校総体(インターハイ)(千葉県大会) | 県大会敗退(詳細記録なし) | 千葉県代表は市立船橋・流通経済大柏/優勝・静岡学園(静岡) |
高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名 | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年度 | 専大松戸 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉 | 1部所属 | 優勝校の詳細記録なし |
| 2021年度 | 専大松戸 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉 | 1部5位 | 優勝校の詳細記録なし |
| 2022年度 | 専大松戸 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉 | 1部4位 | 優勝・市立船橋高校B(千葉) |
| 2023年度 | 専大松戸 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉 | 1部6位 | 優勝・日体大柏高校B(千葉) |
| 2024年度 | 専大松戸 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉 | 1部4位 | 優勝・流通経済大柏高校B(千葉) |
| 2025年度 | 専大松戸 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉 | 1部優勝 | 初優勝/プリンスリーグ関東2部参入戦進出 |
| 2026年度 | 専大松戸 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉 | 1部参戦中 | 優勝校はシーズン中のため未確定 |
高円宮杯全日本ユースサッカー選手権大会
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2008年度 | 専大松戸 | 全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会(千葉県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・浦和レッズユース(埼玉) |
| 2009年度 | 専大松戸 | 全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会(千葉県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・浦和レッズユース(埼玉) |
| 2010年度 | 専大松戸 | 全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会(千葉県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・FC東京U-18(東京) |
全日本ユース選手権は1989年に創設され2010年まで開催された。千葉県予選・関東予選敗退のため本戦出場歴なし。
部員数とカテゴリー構成
部員数は約100名前後(各学年30名強)。千葉県内外の中学校・クラブチーム出身者が在籍している。
カテゴリー構成・活動実態:
- トップチーム(Aチーム):高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉1部(Div.1)に参戦
- セカンドチーム(Bチーム):高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉2部または3部に参戦
- サードチーム(Cチーム):高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ千葉3部または4部に参戦
- U-16チーム:関東近隣の私学強豪が参加するU-16ルーキーリーグ(Hyenas KANTO / ATHLEAD等)に参戦
部員全員が公式戦の出場機会を得られるよう複数カテゴリーに分かれてリーグ戦へ参戦しており、併設の専修大学松戸中学校サッカー部とも連携しながら一貫した育成が行われている。
ユニフォーム
ホームユニフォームはシャツ・ショーツ・ソックスともに伝統のグリーン(深緑)を基調とし、アクセントにホワイトやゴールドを取り入れた配色。アウェイユニフォームはホワイトを基調とする。サプライヤーはアスレタ(ATHLETA)などを採用している。
寮と練習環境
専修大学松戸高校は原則として通学制を採用しており、学校直営のサッカー部専用寮は設置されていない。部員の大半は千葉県内および近隣の東京都・埼玉県・茨城県などの自宅から公共交通機関を利用して通学している(遠方出身者については学校提携の下宿・学生会館等を利用する場合がある)。
練習環境としては、2009年に全面人工芝化された校内のメイングラウンドを中心に活動している。夜間照明設備が完備されており、放課後のトレーニング環境が整えられているほか、1周400mの全天候型トラックやウエイトトレーニング施設、体育館などの充実した教育・スポーツ施設を活用して日々強化に励んでいる。
強化の成果と育成実績
専修大学松戸高校サッカー部の最大の特徴は、形式的な戦術の刷り込みに頼らず、選手の知性と感覚を刺激する「文武両道・探究型」の強化メソッドにある。激戦区の千葉県で市立船橋や流通経済大柏といったメガスクールに対抗するため、練習前に問いを立てて対話する「哲学対話」を導入。これにより選手が自らピッチ上の状況を言語化し、判断を共有するインテリジェンスが磨かれた。さらに古武術の専門家を招いた身体操作トレーニングを取り入れ、筋力や体格で勝る相手に対しても合理的かつスムーズに身体を動かして競り勝つ術を体得させている。
この独自の強化策は着実に実を結び、2019年度の選手権県予選ベスト4進出に続き、2025年度には高円宮杯千葉県1部リーグで初優勝を達成。インターハイ予選や選手権予選でもプレミアリーグ勢を相手にジャイアントキリングを起こすなど、千葉県トップクラスの実力を確立した。
卒業後の進路実績も極めて高く、文武両道の進学校として専修大学をはじめとする有名大学サッカー部へ多数の選手を送り込んでいる。プロサッカー界にも人材を輩出しており、Jリーグ草創期から各クラブで活躍し引退後は指導者としてカターレ富山監督などを歴任したMF浮氣哲郎や、Jリーグの複数クラブで守備の要として長く活躍したDF小柳達司、ヴァンフォーレ甲府でプレーしたDF加納昌弘などがOBとして知られている。大学経由を含め、育成組織としての評価は年々高まりを見せている。
主なプロ選手一覧
- 1989年度卒:浮氣哲郎(専修大学松戸高校 → 東京学芸大学 → 東京ガスFC → ジェフユナイテッド市原 → 東京ガスFC/FC東京 → 大宮アルディージャ → モンテディオ山形 → 湘南ベルマーレ → 横浜FC)※元カターレ富山監督
- 1995年度卒:加納昌弘(専修大学松戸高校 → 専修大学 → ヴァンフォーレ甲府)
- 2007年度卒:小柳達司(専修大学松戸高校 → 日本体育大学 → ザスパ草津/ザスパクサツ群馬 → ツエーゲン金沢 → ザスパクサツ群馬 → ヴァンフォーレ甲府 → ブラウブリッツ秋田 → ザスパ群馬)
※掲載基準:J1〜J3所属歴またはプロ契約実績が確認できた卒業生を掲載。元プロサッカー選手の西山哲平(ベルマーレ平塚、モンテディオ山形、大分トリニータ等)は専修大学松戸高校に在籍歴(中退)があるが、卒業生基準により一覧からは除外。
























