就実高校(岡山県)
岡山県岡山市北区弓之町に校舎を構える私立の就実高等学校サッカー部。2012年の男子受け入れ・創部という比較的若い歴史ながら、徹底した人間形成とパスワークを軸とした組織的なサッカーで急成長を遂げ、全国大会予選での上位進出や高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国への参戦など、岡山県の高校サッカー界において屈指の存在感を放つ新興勢力である。
目次
学校の設立と概要
就実高等学校は、1904年(明治37年)に創設された私立岡山実科女学校を起源とし、120年以上の伝統を誇る私立高等学校である。創立以来、「去華就実(華を去り実に就く)」を建学の精神として掲げ、外見の華やかさに惑わされず、内面を磨き実質的な力を蓄える誠実な人間教育を一貫して実践してきた。
長年にわたり岡山県を代表する伝統ある女子校として発展してきたが、2009年度に特別進学コースを男女共学化したことを皮切りに共学化を推進。2011年度には全学科・コースにおいて完全男女共学化を達成した。普通科の中に「特別進学コース(ハイグレードクラス/アドバンスクラス)」「特別進学チャレンジコース」「総合進学コース」を設置し、国公立大学や難関私立大学への高い進学実績を誇る進学校としての顔を持つ。
部活動においても極めて高い実績を残しており、女子バレーボール部や女子バスケットボール部、卓球部などの全国制覇経験を持つ全国屈指の強豪運動部を多数擁する。共学化以降は男子の運動部・文化部も目覚ましい発展を遂げ、文武両道の教育環境が高く評価されている。
サッカー部創部の経緯
就実高等学校サッカー部(男子)は、学校の完全男女共学化に伴い、2012年(平成24年)に創部された。創部にあたり、三菱養和SCやヴィッセル神戸のアカデミーなどで豊富な指導実績を持つ須田二三明氏を監督兼創立責任者として招聘し、ゼロからのチームビルディングがスタートした。
創部当初は部員数も限られ、専用グラウンド等の練習環境も整わない厳しい船出であったが、「サッカーを学ぶ。サッカーで学ぶ」「自立した人間形成」を掲げてチーム強化を推進。基礎技術の徹底とクレバーな状況判断力を磨く指導により、着実に実力を向上させていった。
創部からわずか数年で岡山県予選の上位に進出するようになり、玉野光南や作陽学園、岡山学芸館といった全国常連の伝統校がひしめく激戦区・岡山県において急速に頭角を現した。高円宮杯の岡山県リーグを勝ち上がり、2019年には中国地域の最高峰である高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国への昇格を果たすなど、新興校として異例のスピードで地域のトップチームへと登りつめた。
現監督と指導陣
- 大谷雄太郎(おおたに ゆうたろう)(在籍期間:2018年頃〜在任中)
日本サッカー協会公認A級指導者ライセンスを保持。須田二三明総監督が築き上げたチームの指導理念を継承し、現場の監督としてチームの指揮を執る。選手の個性を引き出しつつ、緻密な戦術構築と論理的な指導でチームの総合力を引き上げ、全国大会初出場およびプリンスリーグ中国での定着を目指した強化を推進している。
- 須田二三明(すだ ふみあき)(在籍期間:2012年〜在任中 ※総監督)
就実高校サッカー部の初代監督であり創設者。三菱養和SCのユース・ジュニアユースコーチやヴィッセル神戸での育成指導を歴任した後、2012年の男子サッカー部創部に伴い監督に就任。「去華就実」の建学の精神に根ざした人間教育と、ボールを大切にする組織サッカーの土台を築き上げた。現在は総監督としてチーム全体を統括している。
- 松永隆佑(まつなが りゅうすけ)(在籍期間:コーチ)
日本サッカー協会公認B級指導者およびGK-Level 2指導者ライセンスを保持し、GKコーチおよびトップチームの指導にあたる。
- 櫻井一貴(さくらい かずき)(在籍期間:コーチ)
就実高校サッカー部第6期OB。母校に戻りコーチとして後輩たちの指導・サポートを行っている。
このほか、フィジカルトレーナーや提携スポーツドクター、専門スタッフが配置され、選手の育成とコンディショニングを多角的にサポートする体制が整えられている。
全国大会などでの成績
就実高校サッカー部は、岡山県の高校サッカー界において創部以降急速に上位進出を果たしてきた。全国高校サッカー選手権大会岡山県予選では、令和7年度(2025年度・第104回大会)に県予選準優勝を果たすなど、幾度となく決勝・準決勝へ進出。岡山学芸館や玉野光南、作陽学園といった全国大会常連校としのぎを削っている。
全国高校総体(インターハイ)岡山県予選においても、令和4年度(2022年度)県予選3位、令和6年度(2024年度)県予選4位、令和7年度(2025年度)県予選3位と、常に県ベスト4前後の安定した好成績を収めている。
リーグ戦文化の醸成においても高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国に参戦経験を持ち、強豪Jユースや中国地区のトップ高体連チームとの対戦を通じて高いレベルでの強化を継続している。
全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2012年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 創部初年度/優勝・作陽(岡山) |
| 2013年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・玉野光南(岡山) |
| 2014年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・玉野光南(岡山) |
| 2015年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・玉野光南(岡山) |
| 2016年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2017年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・作陽(岡山) |
| 2018年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2019年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2020年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・作陽(岡山) |
| 2021年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2022年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 県ベスト8 | 優勝・岡山学芸館(岡山)※全国大会優勝 |
| 2023年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2024年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 県ベスト4(第3位) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2025年度 | 就実 | 全国高校サッカー選手権大会(岡山県予選) | 準優勝 | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
全国高等学校総合体育大会(インターハイ・岡山県予選)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2012年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 創部初年度/優勝・作陽(岡山) |
| 2013年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・作陽(岡山) |
| 2014年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・作陽(岡山) |
| 2015年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・玉野光南(岡山) |
| 2016年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・玉野光南(岡山) |
| 2017年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2018年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・作陽(岡山) |
| 2019年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・作陽(岡山) |
| 2020年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 大会中止 | 新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止 |
| 2021年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2022年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 県第3位 | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2023年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 予選敗退(詳細記録なし) | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2024年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 県第4位 | 優勝・作陽学園(岡山) |
| 2025年度 | 就実 | 全国高校総体(岡山県予選) | 県第3位 | 優勝・岡山学芸館(岡山) |
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名 | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2019年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国 | 8位 | 初参戦/優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2020年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国 | 大会方式変更 | 代替大会(スーパープリンスリーグ中国)に参戦 |
| 2021年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国 | 7位 | 優勝・米子北(鳥取) |
| 2022年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国 | 6位 | 優勝・米子北(鳥取) |
| 2023年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国 | 7位 | 優勝・ファジアーノ岡山U-18(岡山) |
| 2024年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国 | 9位 | 県リーグへ降格/優勝・岡山学芸館(岡山) |
| 2025年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ岡山県1部 | 優勝 | プリンスリーグ中国プレーオフ勝利により再昇格 |
| 2026年度 | 就実 | 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国 | 参戦中(6位相当) | 大会開催中 |
部員数
総部員数は約83名(3年生27名、2年生21名、1年生35名)で構成されている。
カテゴリー構成・所属リーグ:
- TOPチーム(Aチーム):高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ中国、岡山県高校総体、全国高校選手権予選に参戦
- 2ndチーム(Bチーム):高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ岡山県1部(県リーグ1部)に参戦
- U-16(1年生チーム):中国ルーキーリーグ LIGA NOVA U-16(N-1リーグ)に参戦
部員の主な出身チームとしては、ファジアーノ岡山U-15をはじめ、ハジャスFC、FC Viparte、鷲羽FC、Jフィールド岡山、Jフィールド津山、アヴァンサールFC、アルコバレーノFCなどの岡山県内有力タウンクラブ・J下部組織や、兵庫県のフォルテ新宮、香川県のF.C.コーマラントなど近隣他県の中学校・クラブチーム出身者が在籍している。
練習環境については、岡山市中区にある「就実学園祇園グラウンド」の人工芝グラウンドおよび照明設備を拠点として活用している。また、トレーニングルームやミーティング設備、専用チームバス等も完備。練習時間は火曜〜金曜が16:00〜19:00、土曜・日曜は公式戦または練習試合、月曜がオフという生活リズムで活動を行っている。
ユニフォーム
ユニフォームサプライヤーはPUMA(プーマ)またはNEW BALANCE等を採用している。ファーストユニフォーム(HOME)は、チームカラーである鮮やかな「赤」を基調とし、シャツが赤色、パンツ(ショーツ)が赤色、ソックスが赤色のオールレッドのカラーリングを採用している。セカンドユニフォーム(AWAY)は、クリーンな「白」を基調とし、シャツが白色、パンツが白色、ソックスが白色のセットアップとなっている。GKユニフォームは、ファーストが黄(シャツ・パンツ・ソックス共に黄色)、セカンドが緑(シャツ・パンツ・ソックス共に緑色)を使用する。
ユニフォームスポンサーに関しては、高体連公式戦の規定に準拠し、胸部分には学校名「SHUJITSU」や校章ロゴが誇り高く配置されている。
寮・生活環境
就実高校サッカー部では、県外や遠方から入部する選手を受け入れるための専用寮が完備されている。なお、入寮にあたっては「顧問の許可が必要」という明確な規定が設けられており、競技に対する強い覚悟と生活規律を重んじる方針が徹底されている。
寮内には清潔で整った個室・居室環境に加え、選手たちの体格向上とコンディショニングを支えるトレーニングルームが併設されている。日々の食事(朝夕)においても、アスリートとしてのフィジカル強化を目的とした栄養バランスの行き届いた食事が提供されている。兵庫県をはじめとする近隣県や遠方出身の選手も多数生活しており、人工芝グラウンドや新校舎とあわせて、サッカーと学業の双方に集中できる充実した施設環境が整っている。
寮費や諸経費の詳細は公式には非公開となっており、クラブおよび学校の規定に基づいて運用されている。
集団生活を通じて挨拶や整理整頓、自己管理能力といった人間形成が図られており、規律ある生活リズムの中で仲間とともに切磋琢磨する生活基盤が構築されている。
入学・入部案内
セレクション・練習会は、例年夏期(7月〜8月頃)および秋期を中心に中学3年生を対象とした部活動体験会・練習会が実施される。
入学後の入部資格に関しては、一般入試で合格した生徒の入部も可能であるが、プリンスリーグ参戦など極めて強度の高い環境であるため、高い意欲と競技継続への覚悟が求められる。
偏差値および設置コースは以下の通りである。
- 普通科 特別進学コース(ハイグレードクラス):偏差値目安 68(最難関国公立大・医歯薬系進学)
- 普通科 特別進学コース(アドバンスクラス):偏差値目安 59(国公立大・難関私立大進学)
- 普通科 特別進学チャレンジコース:偏差値目安 53(部活動と進学の両立)
- 普通科 総合進学コース:偏差値目安 46〜48(多様な進路実現・部活動両立)
推薦入試の有無について、私立高校としての推薦入試(特待生制度・スポーツ推薦・自己推薦等)が実施されており、実技能力や中学校での実績に応じた選考枠組みが用意されている。
※これらの情報は年度・情勢により変動するため、あくまで参考情報となります。最新かつ正確な情報は必ず学校・クラブ公式HPをご確認いただくか、直接お問い合わせください。
チーム強化・指導方針
就実高校サッカー部の指導方針の根幹にあるのは、「サッカーを学ぶ。サッカーで学ぶ」というモットーと、学校の建学の精神である「去華就実」に根ざした人間教育である。サッカーの技術向上だけにとどまらず、ピッチ外での挨拶・礼儀・感謝の心・自主性を徹底して育成し、社会に貢献できる一人前の人間へと成長させることを最大の目的としている。
戦術・サッカースタイルにおいては、個々のボールコントロール技術と状況判断力を極限まで高め、人とボールが連動する「パス&コントロール」をベースとした攻撃的なポゼッションサッカーを展開する。体格やフィジカルの強さに頼るだけでなく、ピッチを広く使い、クレバーに相手の逆を突くサッカーを志向している。
さらに、近年では球際のインテンシティ(強度)や守備の切り替えの早さ(トランジション)の強化にも注力。高円宮杯プリンスリーグ中国という高強度のリーグ戦や、U-16ルーキーリーグでの経験をチーム全体へ還元し、全国の舞台で勝利を掴み取るための総合力強化を推し進めている。
主なプロ選手一覧
- 1987年度卒(※該当なし/2012年男子創部)
- 2019年度卒:牛田援(就実高校 → IPU・環太平洋大学 → ガイナーレ鳥取 → ブリオベッカ浦安)
※掲載基準:J1〜J3または日本国内外のプロクラブとのプロ契約実績が確認できた選手を掲載。現役ユース・在学中アマチュア登録選手は除外。牛田援選手は就実高校男子サッカー部創部以来、初のプロサッカー選手(Jリーガー)である(2002年1月7日生まれ/2019年度卒業算出:2002 + 17 = 2019年度卒)。


























