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【高校選手権】「前を向いて進んで」桐光学園・鈴木コーチ、悔しさを成長の糧に

東京・国立競技場で12日に行われた全国高校サッカー選手権の準決勝で、桐光学園(川崎市麻生区)は0-3で京都橘に敗れ、決勝進出はならなかった。同校OBで、2012年から指導する鈴木勝大コーチ(35)は「いろんな思いが交錯している」と悔しさをにじませながらも「一緒に成長させてもらえた」と、選手への賛辞を忘れなかった。

 「勝(かつ)さん」の愛称で親しまれる鈴木コーチ。同校が2度目の全国選手権に出場した1995年度大会では主将を務めていた。

 現在、サッカーのJ1横浜F・マリノスに所属する中村俊輔選手(34)が当時2年生で、佐熊裕和監督(49)が「歴代最強」と振り返る世代を率いていた。ただ、優勝候補の東福岡との初戦で1-2の逆転負け。勝負の厳しさを嫌というほど知った。

 高校卒業後、国士舘大を経て、J2アビスパ福岡などで活躍。7年間のプロ生活に別れを告げた後は熊本・ルーテル学院高校などで指導を重ね、昨春から体育科の非常勤講師として帰ってきた。

 8月下旬から11月末まで、佐熊監督がプロでも指導できる最高峰のライセンスを取得するため、週の半分以上を不在にした。全国選手権を目指すチームを預かるプレッシャーは「二度としたくない」(鈴木コーチ)ほどだったが、根っからの負けず嫌い。高校時代の苦い記憶をあえて直視し、勝負にこだわる姿勢を伝え続け、今大会の躍進に実らせた。

 「1点に対する執着心を学んだ」と、3年の市森康平選手(18)。主将の佐藤建太選手(18)も「僕たちに足りないことを考えて練習してくれた」と感謝は尽きない。

 鈴木コーチは激しく戦い抜いた選手を誇りに思う。「僕もそうだけど、こういう悔しさが成長の糧となる。ここで踏みとどまらず、少しずつ前を向いて進んでいくことが大事」。教え子たちには、そう伝えた。

【カナロコ】