湘南工科大学附属高校(神奈川県)
神奈川県藤沢市辻堂西海岸に所在する湘南工科大学附属高等学校のサッカー部。旧校名である相模工業大学附属高校時代には、日本人初のブンデスリーガーとなった奥寺康彦や「ミスター・レッズ」こと福田正博らを輩出し、全国高校サッカー選手権大会で2度の全国ベスト4(第52回・第53回大会)、全国高校総体(インターハイ)でも第3位(1976年度)に輝くなど、日本高校サッカー史に燦然と輝く実績を築き上げた名門である。「何事にも真面目に一生懸命、気魄を持って取り組む」をスローガンに掲げ、2022年には35年ぶりとなるインターハイ出場(全国ベスト8進出)を果たし、激戦区・神奈川県において完全復活を遂げている。
目次
学校の設立と概要
学校法人湘南工科大学が運営する湘南工科大学附属高等学校は、1961年(昭和36年)4月に「相模工業高等学校」として設立・開校された私立高等学校である。高度経済成長期の日本において科学技術分野を担う有為な技術者・専門人材の育成を目指して設置され、1965年には相模工業大学(現・湘南工科大学)の開学に伴い「相模工業大学附属高等学校」へと改称された。その後、1990年(平成2年)に大学の改称に合わせて現在の「湘南工科大学附属高等学校」へと校名を変更している。
校訓には「誠実」「剛健」「創造」を掲げ、湘南の開放的な自然環境と充実した教育設備の中で、知育・徳育・体育の調和が取れた人間性豊かな生徒の育成を推進してきた。設置学科・コースとしては、大学との高大一貫連携を軸に科学技術やプログラミングを深く学ぶ「技術コース」、国公立大学や難関私立大学への進学を目指す「進学アドバンスコース」「進学スタンダードコース」、そして全国レベルのアスリートを育成する「体育コース」の4コース制を展開している。
スポーツ教育にも極めて高い定評があり、サッカー部のみならず、インターハイ等で全国優勝の実績を持つ水泳部やテニス部、卓球部、体操部、バスケットボール部など数多くの運動部が全国トップレベルで躍動している。文武両道を掲げながら、豊かな個性と自主自律の精神を育む教育環境が確立されている。
サッカー部創部の経緯
湘南工科大学附属高等学校サッカー部は、学校創立間もない1960年代初頭に創部された。創部当初から着実な強化が進められ、1960年代後半から1970年代にかけて神奈川県内のみならず全国屈指の強豪校へと急成長を遂げた。
1969年度(第48回)全国高校サッカー選手権大会に関東代表として初出場を果たすと、名将・指導陣のもとで奥寺康彦らを擁して全国の舞台で鮮烈な存在感を示した。1973年度(第52回)全国高校サッカー選手権では四日市中央工(三重)を6-0で破るなど快進撃を見せ全国第3位(ベスト4)へ進出。続く1974年度(第53回)選手権でも2年連続となる全国ベスト4に輝いた。さらに1976年の全国高校総体(インターハイ)でも全国第3位入賞を果たすなど、高校サッカー界の黄金期を築いた。
1980年代には福田正博らを擁して1985年度(第64回)選手権や1987年インターハイに出場。その後、神奈川県内の勢力図の変遷に伴い全国大会から遠ざかる雌伏の時代を経験したが、2010年代以降の指導体制刷新と強化策により古豪復活の歩みを加速。2022年のインターハイ予選で桐光学園や桐蔭学園などの強豪がひしめく神奈川県を35年ぶりに制覇し、本大会でも全国ベスト8に進出するなど、再び全国トップクラスの競争力を誇るチームとして注目を集めている。
現監督と指導陣
- 室井雅志(むろいまさし)(在籍期間:2011年〜在任中)
湘南工科大学附属高等学校教諭(保健体育科)およびサッカー部監督。現役時代は専修大学などでプレーし、指導者就任後は「気魄(きはく)」を前面に出したアグレッシブかつ選手主体のサッカースタイルを構築。長年全国の舞台から遠ざかっていたチームを粘り強く強化し、2022年には35年ぶりとなる全国高校総体(インターハイ)出場を果たすと、全国ベスト8進出という快挙を成し遂げてチームを完全復活へと導いた。選手のメンタル面・人間的成長を重視した熱心な指導を行っている。
- 中嶋昂平(なかじまこうへい)(在籍期間:2010年代〜在任中)
湘南工科大学附属高等学校教諭(理科)およびサッカー部顧問・ヘッドコーチ。室井監督とともにチームの戦術構築およびB・Cチームを含めた選手全体のコンディショニングと育成をサポートしている。
指導陣には専属のGKコーチ、フィジカルトレーナー、外部メディカルスタッフが配置されており、選手のパフォーマンス向上や怪我の予防、データ分析ツール(Knows等)の導入など、現代サッカーの潮流に合わせた高度なサポート体制が整えられている。
全国大会などでの成績
全国高校サッカー選手権大会には相模工大付時代を含め通算6回出場。第52回大会(1973年度)および第53回大会(1974年度)において2年連続で全国ベスト4(第3位)に進出している。全国高校総体(インターハイ)には通算7回出場し、1976年度に全国第3位、直近の2022年度(令和4年度)には35年ぶりとなる出場を果たして全国ベスト8に進出した。リーグ戦においては神奈川県U-18リーグのトップディビジョンであるK1リーグを主戦場とし、プリンスリーグ関東昇格を目指して激戦を繰り広げている。
全国高校サッカー選手権大会
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1969年度 | 相模工大付 | 全国高校サッカー選手権大会(1回目) | 1回戦敗退 | 初出場/優勝・浦和南(埼玉) |
| 1973年度 | 相模工大付 | 全国高校サッカー選手権大会(2回目) | ベスト4(全国第3位) | 準決勝敗退/優勝・北陽(大阪) |
| 1974年度 | 相模工大付 | 全国高校サッカー選手権大会(3回目) | ベスト4(全国第3位) | 準決勝敗退(両校3位)/優勝・帝京(東京) |
| 1978年度 | 相模工大付 | 全国高校サッカー選手権大会(4回目) | 1回戦敗退 | 優勝・古河一(茨城) |
| 1981年度 | 相模工大付 | 全国高校サッカー選手権大会(5回目) | 1回戦敗退 | 優勝・武南(埼玉) |
| 1985年度 | 相模工大付 | 全国高校サッカー選手権大会(6回目) | 1回戦敗退 | 優勝・清水市商(静岡) |
| 1986年度〜2024年度 | 相模工大付/湘南工科大附 | 全国高校サッカー選手権大会(神奈川県予選) | 県予選敗退(詳細記録なし) | 桐光学園、桐蔭学園、日大藤沢、三浦学苑等が代表 |
| 2025年度 | 湘南工科大附 | 全国高校サッカー選手権大会(神奈川県予選) | 県予選敗退(ベスト8) | 優勝・神村学園(鹿児島) |
全国高等学校総合体育大会(インターハイ)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名(出場回数) | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1970年度 | 相模工大付 | 全国高校総体(インターハイ)(1回目) | 2回戦敗退 | 初出場/優勝・浜名(静岡) |
| 1973年度 | 相模工大付 | 全国高校総体(インターハイ)(2回目) | ベスト8 | 優勝・児玉(埼玉) |
| 1975年度 | 相模工大付 | 全国高校総体(インターハイ)(3回目) | ベスト8 | 優勝・清水東(静岡) |
| 1976年度 | 相模工大付 | 全国高校総体(インターハイ)(4回目) | ベスト4(全国第3位) | 優勝・清水東(静岡) |
| 1978年度 | 相模工大付 | 全国高校総体(インターハイ)(5回目) | 1回戦敗退 | 優勝・古河一(茨城) |
| 1987年度 | 相模工大付 | 全国高校総体(インターハイ)(6回目) | 1回戦敗退 | 優勝・市立船橋(千葉) |
| 1988年度〜2021年度 | 相模工大付/湘南工科大附 | 全国高校総体(神奈川県予選) | 県予選敗退(詳細記録なし) | 34年間本大会出場なし |
| 2022年度 | 湘南工科大附 | 全国高校総体(インターハイ)(7回目) | ベスト8 | 35年ぶり出場/優勝・前橋育英(群馬) |
| 2023年度 | 湘南工科大附 | 全国高校総体(神奈川県予選) | 県予選敗退(ベスト8) | 優勝・明秀学園日立(茨城) |
| 2024年度 | 湘南工科大附 | 全国高校総体(神奈川県予選) | 県予選敗退(ベスト8) | 優勝・昌平(埼玉) |
| 2025年度 | 湘南工科大附 | 全国高校総体(神奈川県予選) | 県予選敗退(ベスト16) | 優勝・神村学園(鹿児島) |
神奈川県高校サッカーリーグ(高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ)
| 年度 | 高校名(チーム名) | 大会名 | 成績・結果 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年度 | 湘南工科大附 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 神奈川県1部(K1) | 4位 | 優勝・日大藤沢 |
| 2022年度 | 湘南工科大附 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 神奈川県1部(K1) | 3位 | 優勝・桐光学園 |
| 2023年度 | 湘南工科大附 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 神奈川県1部(K1) | 5位 | 優勝・桐蔭学園 |
| 2024年度 | 湘南工科大附 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 神奈川県1部(K1) | 4位 | 優勝・桐光学園 |
| 2025年度 | 湘南工科大附 | 高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 神奈川県1部(K1) | 5位 | 優勝・日大藤沢 |
部員数
総部員数は約170〜180名(3年生約60名、2年生約58名、1年生約62名)の大所帯で活動している。
カテゴリー構成・活動実態:
- Aチーム(トップチーム):神奈川県U-18リーグ1部(K1リーグ)、全国高校総体、全国高校サッカー選手権大会に参戦
- Bチーム:神奈川県U-18リーグ3部(K3リーグ)に参戦
- Cチーム:神奈川県U-18リーグ4部(K4リーグ)に参戦
- D/Eチーム:神奈川県U-18リーグ5部(K5)・6部(K6リーグ)に参戦
- U-16(1年生):関東ルーキーリーグ(Hyenas KANTO / spolab rookie league)に参戦
部員の主な出身チームとしては、湘南ベルマーレU-15、横浜FC鶴見ジュニアユース、横浜F・マリノスジュニアユース追浜、川崎フロンターレU-15などのJクラブ下部組織出身者をはじめ、シュートJrユースFC、FC湘南JY、バディーJY、TOKYU S Reyes FC、SCH.FC、横須賀シーガルズFCなど神奈川県内および東京都・関東近郊の強豪タウンクラブや中学校サッカー部から高い志を持った選手が多数集結している。
練習環境は、校内グラウンド(クレーおよび多目的スペース)のほか、近隣の辻堂海浜公園、海岸砂浜でのフィジカルトレーニング、外部の人工芝施設をフル活用している。練習時間は平日の放課後(16:00〜19:00頃、週6日活動・週1日オフ)、休日は公式戦または遠征・強化試合を実施し、砂浜を活用した独自のフィジカル強化と戦術練習を効率的に組み合わせている。
ユニフォーム
ユニフォームサプライヤーはadidas(アディダス)を採用している。ファーストユニフォーム(HOME)は、伝統の「オレンジ」または「赤」を基調とし、シャツが赤色/オレンジ色、パンツが黒色または同色、ソックスが同色の力強い配色パターンが特徴である。セカンドユニフォーム(AWAY)は、清潔感のある「白」を基調とし、シャツが白色、パンツが白色、ソックスが白色の組み合わせとなっている。GKユニフォームは緑色や黄色などが用意されている。
また、近年のチーム強化および活動支援の一環として、フィジカル・コンディショニングサポート企業(nowtis等)やウェアパートナーとの連携を進めており、トレーニングウェア等におけるサプライ支援体制を強化している。
寮・生活環境
湘南工科大学附属高等学校には、サッカー部専用の学校直営寮は設置されていない。基本的に部員の多くは神奈川県内および東京都・静岡県東部などの通学圏内から電車・自転車を利用して自宅通学している。
遠方や県外出身の生徒の受け入れ態勢として、学校周辺の民間学生マンションや提携下宿、指定アパートを利用する体制が整えられている。寮費・諸経費の詳細は公式には非公開となっており、契約する民間物件の家賃・管理費規定に基づいて運用されている。
生活リズムは、朝練習(各自またはチーム指定)から始まり、放課後のハードな全体トレーニング、夜の自主トレーニングや学習時間と、自己管理を徹底するスケジュールとなっている。辻堂海岸に近い湘南の自然環境を活かし、海岸沿いでのランニングやフィジカルトレーニングなど、地域環境を最大限に活かした生活・練習環境が整っている。
入学・入部案内
中学生(主に中学3年生)を対象とした部活動体験会・練習会は、例年夏期(7月〜8月頃)および秋期にかけて随時実施されている。体験・参加を希望する場合は、中学校の部活動顧問または所属クラブチームの指導者を通じて高校サッカー部顧問(TEL: 0466-34-4114)へ事前連絡の上で参加する形式となっている。
入学後の入部資格に関しては、一般入試で合格した生徒も含めて入部は可能であるが、部員数が170名を超える大所帯かつハイレベルな競争環境であるため、高い意欲と厳しい練習環境への適応力が求められる。
偏差値および設置コースは以下の通りである。
- 進学アドバンスコース:偏差値目安 54〜59(国公立・難関私立大学進学を目指すセレクトクラス/一般クラス)
- 進学スタンダードコース:偏差値目安 49〜52(中堅私立大学進学・高大連携)
- 技術コース:偏差値目安 45〜48(情報・科学技術分野の専門教育)
- 体育コース:偏差値目安 39〜42(実技重視・トップアスリート育成枠)
推薦入試(スポーツ推薦・専願入試)に関しては、体育コースを中心に入部を前提とした推薦選考や自己推薦入試が実施されているほか、一般入試においても各コースごとの出願基準が設定されている。
※これらの情報は年度・情勢により変動するため、あくまで参考情報となります。最新かつ正確な情報は必ず学校・クラブ公式HPをご確認いただくか、直接お問い合わせください。
チーム強化・指導方針
湘南工科大学附属高校サッカー部の指導方針の根幹にあるのは、「気魄(きはく)」という精神的支柱と「ハードワーク」「全員攻撃・全員守備」の徹底である。伝統的に培われてきた強烈な闘争心と球際の強さに加え、ピッチ上の11人全員が攻守において主体的・連動して走り切るダイナミックなサッカースタイルを標榜している。
室井雅志監督のもとでは、単に精神論に頼るのではなく、GPSデバイスやトラッキングシステム(Knows)を練習・実戦に導入し、走行距離やスプリント回数、心拍負荷などのフィジカルデータを可視化。選手自身が自己の運動量やコンディションを客観的に把握し、主体的に判断・行動できる論理的な指導法を取り入れている。
さらに、辻堂海岸の砂浜を活用した伝統のサンドトレーニングにより、強靭な下半身の筋力、バランス感覚、持久力を極限まで強化。最後まで足が止まらない圧倒的な走力とタフネスを武器に、神奈川の強豪クラブや全国のトップチームと渡り合う独自の強化サイクルを確立している。高校3年間での競技力向上にとどまらず、大学サッカー界やプロの世界でも通用する自立した人間性とリーダーシップの育成を重んじている。
主なプロ選手一覧
- 1969年度卒:奥寺康彦(相模工業大学附属高校 → 古河電気工業サッカー部 → 1.FCケルン[西ドイツ] → ヘルタ・ベルリン[西ドイツ] → ヴェルダー・ブレーメン[西ドイツ] → 古河電気工業サッカー部)※日本人初のプロサッカー選手・元日本代表、日本サッカー殿堂入り
- 1984年度卒:福田正博(相模工業大学附属高校 → 中央大学 → 三菱重工業サッカー部 / 浦和レッズ)※元日本代表、Jリーグ初代日本人得点王、「ミスター・レッズ」
- 1997年度卒:木暮賢一郎(相模工業大学附属高校 → 神奈川大学 → ファイルフォックス → クリノス[スペイン] → カルニセール・トレホン[スペイン] → 名古屋オーシャンズ)※元フットサル日本代表、フットサル日本代表監督
- 2013年度卒:福井光輝(湘南工科大学附属高校 → 日本体育大学 → FC町田ゼルビア → 浦和レッズ)※現所属(2026年時点)
※上記一覧は、トップチーム昇格、J1〜J3または海外プロクラブとのプロ契約実績、および公式な代表歴が確認できた選手を掲載している。高校卒業後にアマチュアリーグ等のみでプレーした選手は割愛している。

























